2021年2月23日更新
行政書士 佐久間毅
もくじ
>> 「質問書」は、入国管理局が配偶者ビザ申請を審査するにあたって結婚当事者に質問したい事項をまとめたもので、全部で8ページあります。
>> 「質問書」は、日本人である結婚当事者の目線で書く書類で、最後に署名するのも日本人の結婚当事者です。配偶者ビザを申請する外国人ご本人が作成するのではありません。
質問書の回答に虚偽の記載があったばあい、質問書に作成者として署名をした日本人の責任がとわれます。
なお、積極的にウソをつくだけでなく、不利な事実を「隠す」行為も、法律上「虚偽」に含まれるとされています。
>> 「質問書」にはプライバシーにかかわる質問も多いですが、出入国在留管理局があえて尋ねているもので、すべての質問事項が、何らかの要件や検討事項と紐づいています。
役所が興味本位で情報を集めることはありませんから、質問の裏にある背後の意図を読み取りましょう。
>> 「質問書」に真実を書かなければ虚偽申請という犯罪になりますので、ありのままに書くことは当然です。
質問書の冒頭と最後に「罪に問われる場合があります」との警告文が記載されていますが、実際に多くの方が逮捕されていますので気をつけて下さい。
時には不許可につながる回答をせざるを得ないこともあるでしょう。その場合は隠したり偽ったりするのではなく、別途のフォローをしたり、誤解を招く可能性がある点についてはきちんと補足したりと、丁寧な準備が必要です。
その1つの方法が「申請理由書」の作成です。
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質問書は、空欄(ブランク)に何かしらの文字が記入されていれば事足りるというものではなく、記入した内容が審査の対象となり、許可・不許可の結果に直結していきますので、ひとつひとつを吟味しながら、しかし偽りなく記入することが大切です。
以下、配偶者ビザのエキスパートが、質問書の書き方についてわかりやすくレクチャーします!
入管は、1つだけのマイナス要因はそれを適切にカバーし、かつ、他には何らの不許可要因がないことを徹底的に立証することで大目に見てくれることもゼロではありませんが、2つ以上のマイナス要因を同時にかかえていると、問答無用で不許可にすることが多いです。
入管の立場になると、マイナス要因をいくつも抱えている人は、不許可にしやすいということになります。
そのためには、配偶者ビザの要件をきちんと把握することが出発点となります。
配偶者ビザの条件をきちんと把握してから「質問書」を記入していくと、質問書の各記入欄がどの条件に関係しているのかがよく分かります。
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配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【1】:お互いの身分事項
〇申請人
書き方1:
申請人とは、配偶者ビザを取得したいとお考えの外国人ご本人です。ここではお相手の「国籍・地域」、「氏名」、「性別」を記載します。
書き方2:
「国籍・地域」欄は、通常は「アメリカ」「中国」など国名だけで良いです。「地域」とは、台湾のような国ではないが独立した地域のことを指しています。
書き方3:
お相手の氏名は、戸籍謄本に記載されているカタカナのお名前ではなく、申請書(在留資格認定証明書交付申請書や在留資格変更許可申請書)に記載した英字アルファベットのお名前にします。
〇配偶者
書き方1:
配偶者とは、外国人とご結婚した日本人のことです。質問書は日本人が作成者ですので、質問書で「あなた」と呼ばれたら、日本人配偶者を指します。
書き方2:
配偶者(日本人である貴方)の氏名は、戸籍謄本の記載のとおりに記入します。お相手の名前に氏を変更した場合は、その戸籍上の名前(例えば、ディアズ花子)を記入します。
書き方3:
配偶者の「国籍・地域」欄は、国名「日本」だけでよいです。「地域」は、都道府県や市区町村のことではありません(上記ご参照。)。
書き方4:
配偶者の住所は、住民票の表記通りに記載します。たとえば、実家を出て一人暮らしをしているのに住民票は実家に残したままということがあると思いますが住民基本台帳法違反なので、実際に住んでいる住所に住民登録を移してから(住民異動届を提出してから)配偶者ビザを申請します。
また日本の民法上、夫婦には同居義務があります(民法第752条)ので、ファミリータイプではなく単身用の住居だと同居の意思に疑問をもたれ不許可になりがちです。偽装婚の場合には同居せずにそれぞれが別々の単身用の住居に住み続けるケースが多いためこの点からも疑問をもたれます。該当者はファミリータイプに転居するなり、申請理由書でフォローするなり別途の対応をします。
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書き方5:
配偶者の電話欄の「自宅」欄は固定電話のことです。最近は固定電話を設置していないかたの方が多い印象です。その場合は「なし」と記入します。
書き方6:
配偶者の「同居者の有無」については、審査要件に密接に関係した記入事項なので注意を払います。まず、海外からの呼び寄せではなく在留資格変更許可申請の場合は結婚した外国人と同居していなければ配偶者ビザは不許可になる可能性が非常に高いです。日本の民法は夫婦の同居義務を定めており(民法第752条)、同居していなければ民法違反だからです。また、在留資格変更許可申請をする場合で同居者がお相手の外国人のみであれば問題ありませんが、同居者が日本人のご両親であったりする場合は、仮に親と同居しなくても生計が成り立つのかが審査され、また、扶養人数との関係で収入要件にかかわってきます。扶養人数が多いのであれば、収入も多く求められます。
また、課税証明書に記載されている「扶養人数」との整合性についても確かめてください。矛盾があるとまずいです。
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書き方7:
自宅が「持ち家」であっても、「借家」であっても、家の「間取り(何LDKか)」は必ず記入します。持ち家の方の記入漏れが目立ちますのでご注意ください。住居の間取りから明らかに単身者用の住居である場合には、民法の同居義務との関係で審査が厳しくなり、ほかにもマイナス要素が多い場合には不許可となります。なお申請後に追加で「賃貸契約書」の提出を求められることがありますから、テキトウに書かないようにしましょう。
書き方8:
自宅の部屋数が少なく「単身用」の住居であることが明らかな場合は、同居の意思が疑われかねません。日本の民法は夫婦の同居義務を定めています(民法752条)ので、物理的に同居は難しいだろうとの誤解を与えうる「単身用」の住居の場合は、夫婦生活を送るに十分なファミリータイプの住居に転居します。申請理由書でフォローすることもあります。いずれにせよ、偽装婚の場合はそれぞれが単身用の住居で別居することが多いので、疑いをもたれないという点にも気を付けます。
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書き方9:
自宅が「持ち家」で登記名義(法律上の所有者)が日本人配偶者であれば良いのですが、ご両親が所有者である家に同居する場合は、経済力がないので実家に住むしか選択肢がないのではとの疑念を生むので、独立した世帯をもちうる経済力はあるけれども、このような理由であえて実家に住むのだということを必ず伝えます。
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書き方10:
ご両親の「持ち家」に同居する場合は、外国人配偶者が日本語でご両親とコミュニケーションがとれるのか、過去にきちんと対面しているのかや短期ビザで来日しお試し同居を経験しているのかなど、「婚姻の継続性」の観点から総合的に判断されます。
書き方11:
「持ち家」だから有利、「借家」だから不利と一概に言うことはできず、ケースバイケースです。例えばご両親の持ち家に同居するにしても、ご両親とお相手の外国人が過去に一度も対面で会ったことがなかったり、言語的コミュニケーションも難しいような場合は、かえって「借家」に仲の良いコミュニケーション可能な夫婦だけで住むほうが無理がなく、ご両親と同居する場合には「同意書」を添付することもあります。ご両親名義の家に住むことは、成人した以上、子にとって当然の権利ではないからです。
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書き方12:
配偶者の「職場」である勤務先が国や自治体であったり、名の知れた上場企業であったりする場合は、収入の継続性と安定性の要件をかなり有利にクリアできます。しかしながら、東証一部上場企業でも、世間的には知られていない会社もありますので、アピールしたい場合は必要に応じて「会社概要」を添付しましょう。
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書き方13:
「職場」欄で大切なのは、就職年月日です。収入は配偶者ビザの申請時に「点」であればよいのではなく、継続性と安定性の両面が審査され、就職してから日が浅い場合には収入の継続性の観点から不許可になりがちです。他にもマイナス要素があると合わせ技一本で不許可に傾きます。申請後に入社年月日明記の「在職証明書」の提出を求められたり、入社年月日が判明する社会保険関係の書面の提出が求められることがありますので、のちのち齟齬が生じて慌てないように正確に記入します。
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配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【2】:結婚にいたった経緯(いきさつ)
2(1)①初めて会った時期、場所
初めて会った時期と場所を記載します。当然のことながら、初めて会ってから結婚までの期間が長い方が、通常は交際歴が長いことを意味しますので配偶者ビザの審査上は有利です。厚生労働省の統計上、日本人が結婚するまでにかける交際期間は平均で4年なので、それよりもかなり短い場合には、本当に相手のことを理解しての結婚であるということを証拠を用いながら的確に立証する必要が増します。
有利であるのは「対面での」「交際期間の」長さなので、知り合ってから結婚までの期間は長いが大半がオンラインでのやり取りであったり、知り合ったのは10年前だが付き合い始めたのは1年前という場合は慎重な準備が必要です。
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2(1)②初めて会ってから結婚届を出すまでのいきさつ
「質問書」が文面で要求していることは、①「年月日を示しながら」、②「できるだけ詳しく」です。
「できるだけ詳しく」と指示されている以上は可能な限り詳しく説明する必要があり、短いと「説明に値するだけの交際歴がない人」として扱われます。
質問書のこの欄は、手抜きをすればその分だけ不許可に近づきます。ほとんど全ての方にとって、「質問書」に用意された記入欄では小さすぎます。したがって、この該当欄には、「別紙ご参照。」と記載して、別紙を用意します。
この質問書に用意されている枠(A4用紙3分の2程度)の文章量で足りるのは、どこをどうつつかれても、偽装婚を疑われないだけの万全の立証証拠がそろっており、かつ、それを適切な形で提出できる場合のみです。例えば、結婚してから30年を夫婦としてアメリカで過ごし、現地で生まれた3人のお子さんがすでに社会人となり独立し、リタイア後に日本への帰国をご検討されているご夫婦などです。
このようなケースでは今さら30年以上前の「出会ってから結婚届を出すまでのいきさつ」など、皆様ほとんど覚えていらっしゃいませんし、30年間アメリカで結婚生活を送ってきたことから偽装婚の疑いなど微塵もないことは、子供の成長とともに撮りためた数多くの家族写真や住所証明などで十分に立証が可能であるからです。
要するに「質問書」のこの項目は、偽装婚でないことをいかに分かってもらうかがポイントなので、大半の方は、面倒がらずに丹念に説明していく必要があります。
矛盾するように聞こえるかもしれませんが、長ければ長いほど良いというものでもありませんので、必要なポイントを要領よくまとめてください。
まれに特定の占いに凝っていたり、新興的な宗教を信じていらっしゃるかたがおられます。もちろん、それ自体は当然の権利であり自由なのですが、その価値観を前面に押しだした「結婚に至った経緯」は、同じ価値観を有していない第三者(入管職員)に理解されづらいことがありますので、客観性を担保しましょう。
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「質問書」2(2)紹介者の有無について
紹介者がいる場合は「有」に、いない場合は「無」にチェックして次に進みます。
ここでいう紹介者とは、人間(自然人)だけでなく、法人としての結婚紹介所も含まれます。
紹介者がいらっしゃる申請は、配偶者ビザ申請全体でみると、かなりレアなケースです。したがってこの欄に記入の必要のあるかたは、申請全体の立証を丁寧に厚くする必要があります。
紹介者がいるケースは常に慎重さが必要ですが、特段に注意が必要なのは次の2ケースです。
ケース1:紹介者や仲介者にお金が渡っている場合、あるいはお金が絡んでいるのか第三者からみて不明な場合
配偶者ビザ審査の1つの目標は、偽装婚を排除することです。「疑わしきは罰せず」という言葉をご存知かと思いますがこれは刑事訴訟の世界のお話で、ビザ申請はその逆のルールで動いています。
刑事訴訟では立証責任は国側つまり検察が負っていますが、ビザ申請の世界では立証責任は国側ではなく申請人側にあります。立証不完全で疑わしさが残ると不許可になります。
あるカップルの婚姻が成立することで誰かに利益(=お金)が発生することが明らかな場合、当然のことながらお金が絡まない婚姻よりも審査は厳しくなります。
問題は、お金の受け渡しがあったのか無かったのかということは、外からは簡単に分からないという点です。ただし結婚仲介業者が絡んでいるからといって全く許可されないというわけではないので、安心してください。ハードルが上がるという意味です。
ケース2:紹介者や通訳がいないと、そもそも結婚にたどり着くことが困難だった場合
レアなケースですが、紹介者が結婚手続きの書類準備やスケジューリング等のあらゆることをお膳立てしてくれて、そのおかげで結婚が成立するに至ったが、
結婚当事者同士はお互いの言語に未習熟で、スマートフォンの翻訳機能を利用しなければコミュニケーションが難しく、紹介者の頑張りがなければおよそ結婚にまでたどり着けなかったであろうケース。
このようなケースは、結婚の「継続性」の観点から、審査は厳しくなります。仲介者は仕事として一生懸命あいだを取りもつわけですが、仲介者が去った結婚後はどうするのですか?というお話です。
言語的な障害から通常であれば結婚に至らないケースなのに、言語的仲介者がいるためになんとか結婚が成立したようなケースは不許可の確率が高いので注意します。
お互いの幸せを思っての善意の紹介者もいらっしゃいますので、その場合は、質問書に設けられている「紹介者と申請人との関係」欄、「紹介者と配偶者(あなた)との関係」欄を有効に活用することにより、偽装婚ブローカーではないと納得してもらいます。
申請人が紹介者Aと直接の知り合いであり、あなたも紹介者Aと直接の知り合いである場合は書きやすいと思いますが、申請人はAさんと知り合いであり、あなたはAさんは知らないが、Aさんの配偶者であるBさんと知り合いであるようなケースでは、関係性が複雑なので説明を工夫してください。
配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【3】:夫婦間の会話で使われている言語
言語的コミュニケーションが成立しているかという点は、きわめて重視されており、言語的コミュニケーションが覚束ない案件は不許可になることが大変多いです。
なぜなら、言語的コミュニケーションが成立していないのであれば、どのようにして相手の結婚意図が真正のものであると確信できたのか第三者には不明だからです。
またそれだけでなく、言語的コミュニケーションが成立していないと、今後夫婦としての課題解決が困難で、結婚の継続性に疑問符がつくからです。
3(1)日常、夫婦の会話に使われている言葉
日本語だから有利、お相手の母語だから有利ということはありません。しかしながら、日本語でもなくお相手の母語でもない第三国の言葉を夫婦の会話に用いている場合は、夫婦がともに外国語をもちいているのですから、どのようにその外国語をマスターしたのかについて、ある程度の納得を入管に提供する必要があります。
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3(2)お互いの母語
日常的に夫婦が用いている言語が、ご夫婦のどちらの母語なのか(あるいは第三国の言葉なのか)を確認するために記入します。
申請時には日本人であっても、かつては外国人であって日本に帰化されたかたは、日本人だが外国語が母語というケースもあります。
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3(3)申請人(お相手の外国人)の、あなたの母語の理解度
&
3(4)配偶者(あなた)の、申請人の母語の理解度
国際結婚の場合、どちらか一方がお相手の母語に精通していて、その言語でコミュニケーションをとるケースが多いです。
双方とも互いの母語の理解度が低い場合、第三国の言語に夫婦ともに通じている背景などがチェックされます。
米国の大学で出会い英語を共通言語とするケースが多いですが、中国の大学で留学生のイタリア人と同じく留学生の日本人が出会って結婚し、共通言語が中国語というようなケースも最近は増加傾向にあり、国際化の進展と多様性を実感させられます。
お互いに相手の母語をよく理解せず、カタコトの英語でコミュニケーションをとっている場合などは不許可に近づくことになります。
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3(5)申請人(お相手の方)が日本語を理解できる場合は、いつ、どのように学んだのか
母国の大学で専攻していた、日本の日本語学校で学んだ、個人指導で学んだなど人それぞれです。ありのままを書けば問題ありません。
3(6)お互いの言葉が通じない場合、どのような方法で、意思の疎通を図っているか
【方法】:
(3)(4)で「会話に支障なし」にチェックをした方でも、実際には分かりやすい表現で言い換えをしたり、専門用語はネットで調べたりされているはずです。
ネイティブ・通訳レベルでもない限り、「通じないことは無い」と断言されるかたは少ないですから、話を盛りすぎない方がかえって信ぴょう性は高く受け止められます。
【通訳者がいた(いる)場合】:
通訳者は紹介者であることが多いようです。親族であれば頻繁に頼むこともできますが、結婚紹介所の業者であるような場合は、結婚成立後のコミュニケーションが不安視されます。
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配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【4】:日本国内で結婚した時の証人
外国で先に結婚をされた場合は記入の必要がありません。日本で先にご結婚をされたときは、結婚届に署名をしてくれた証人2名の氏名等を記載します。証人の氏名から、結婚当事者との関係がわからない場合は、補足情報として記入します。
この証人が親族であった場合は、氏名のみでは結婚ブローカーと見分けがつかない知人・友人よりも、心証はよいです。
日本で先に結婚をしても、外国で先に結婚をしてもどちらでも構いませんが、相手の国でも結婚が成立している必要があります。日本でのみ結婚が成立していることを「跛行婚(はこうこん)」と呼び、相手の国ではまだ他人同士であることから、配偶者ビザが不許可になる可能性が高くなります。
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配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【5】:結婚式の年月日、場所等
結婚式は自分の両親や親族、友人たちに結婚の成立を報告し祝福してもらう儀式ですので、これを行なっていると偽装婚でないことを証明する材料がひとつ増えることとなります。ただし、アメリカやフィリピンのように、役所で結婚式をあげないとそもそも結婚が法的に成立しない国の場合は、結婚式をアピールしてもあまり意味はありません。その場合は、参列者の構成や人数がみられていると考えましょう。
配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【6】:結婚歴
結婚歴は、婚姻の真実性に直結しています。初婚だからと言って偽装婚でないことの証明にはなりませんが、離婚歴が多い方は1回1回の結婚の決断が安易に行われているのではないか、また、結婚をしてもそれを継続する能力がないのではないかと入管に疑われるからです。結婚の決断が熟慮の結果でないのであれば、偽装婚が多発している以上、入管は配偶者ビザの許可を躊躇します。
丁寧な説明なくしてはまず許可が覚束ないケースとしては、①外国人、日本人を問わず結婚回数の多い方(つまり、離婚回数が多く、結婚を安易に繰り返していると入管に判断されかねない状況のかた。)や、②今回の結婚の交際が、前婚の離婚前にはじまっている方、③前婚の結婚を根拠に、自分または前婚の配偶者が日本のビザを取得しているような場合です。
配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【7】:申請人が来日した回数と時期
(1)回数は、生まれてから現在までのすべての来日の合計回数を記載します。
(2)時期は、書き方見本(サンプル)のように、直近の渡航を①に記載し、過去へとさかのぼって記載しても良いですし、古い渡航を①に記載し直近へと書いてもどちらでも構いません。
申請人が来日した回数と時期は、出入国管理を担当する入管はすべてデータとして保存していますので、テキトウな記載せず正確に書きましょう。
外国人のかたの日本における滞在日数が多いほど、配偶者ビザ申請の審査としては有利になります。来日回数や滞在日数は、交際の密度(インターネット上ではなく対面での交際)や日本に対する知悉度(日本をどれだけ知っているのか)をはかるひとつの指標なので、お相手の日本滞在歴が短くても、日本人がお相手の国に長期滞在しているようなケースではさほどご心配はいりません。
逆に来日回数や滞在日数が交際歴の乏しさを表してしまっている人は、それ以外の方法で婚姻の真実性を立証するほかなく、それに失敗すれば立証責任は申請人にあることから、配偶者ビザは不許可となります。
なお、お相手が日本を数多く訪問をしていても、ビジネス目的の出張であることも多くありますし、別の友人に会うためかもしれませんので、その訪問日数のうち何日をあなたと共に過ごしたのかについては別途の立証が必要です。
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配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【8】:日本人配偶者がお相手の母国を訪問した回数と時期
(1)知り合ってから結婚までの間
どのような交際を経て結婚に至ったのかが中心的に問われているので、次の項目である(2)の結婚後の訪問回数よりも重視されます。日本人のかたのお相手の母国における滞在日数が多いほど、配偶者ビザ申請の審査としては有利になります。
交際の密度(インターネット上ではなく対面での交際)やお相手のバックグラウンドに対する知悉度をはかるひとつの指標なので、外国人配偶者が日本に在留カードをもって中長期滞在しているようなケースでは、日本人の先方の母国における滞在日数が少なくてもさほどご心配はいりません。
逆に渡航回数や滞在日数が交際歴の乏しさを表してしまっている人は、それ以外の方法で婚姻の真実性を立証するほかなく、それに失敗すれば立証責任は申請人にあることから、配偶者ビザは不許可となります。
なお、お相手の母国を数多く訪問をしていても、ビジネス目的の海外出張であることも多くありますし、別の友人に会うためかもしれませんので、その訪問日数のうち何日を結婚相手と共に過ごしたのかについては別途の立証が必要です。
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(2)結婚後
結婚後の訪問回数については、結婚してまだ日が浅い方は、「0回」のかたも少なくありませんのでご心配はいりません。お相手の呼び寄せの申請(在留資格認定証明書交付申請)をする場合に、結婚してからそれなりの期間が経過しているのに、お相手の母国にパッタリと行かなくなっている場合は、その理由等を別途フォローします。
配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【9】:申請人の退去強制歴・出国命令による出国歴
退去強制歴や出国命令による出国歴の有無をチェックします。
退去強制歴がある場合には、どのような理由で退去強制になったのか把握することが大切です。犯罪の重さによって、入国禁止期間の長さが異なります。入国禁止期間中であれ、入国禁止は解除された場合であれ、いずれにせよハードルは高いですから、みんビザがお勧めする配偶者ビザを専門とする行政書士にご相談ください。
配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【10】:退去強制歴の詳細
(1)違反の内容
「不法残留」、「不法入国」、「その他」の該当項目をチェックします。違反の内容は、絶対に間違えないでください。チェックすべき箇所は、1つとは限らず、すべてにチェックしなければならないかたもいらっしゃいます。
入国管理局には退去強制の詳細は当然保管されているのに、あえて再度「質問書」において記入させる理由は、日本人配偶者がきちんと過去の違反内容(=犯罪歴)を把握しているかの確認の意味もあります。
本当は、不法残留かつ不法入国かつ風営法違反で退去強制になったにもかかわらず、あなたが不法残留の項目のみにしかチェックをしていなければ、あなたは配偶者の過去の犯罪のごく一部しか知らされていないことを意味します。
日本人配偶者が過去のお相手の犯罪をきちんと把握していなくて、どうして再発を防止できるのか、と入管は考えます。身元保証書には、保証人は申請人の「法令順守」について保証をすると書かれていますが、それが期待薄であることを意味します。身元保証人の適格性が疑われるのです。
したがって、このチェック項目はよくよくご本人に確認したうえで、正確にチェックする必要があります。
なお、「不法残留」とはいわゆるオーバーステイのことで、合法的に入国したものの、在留期限後も帰国せずに日本に滞在する犯罪です。「不法入国」とは、入国当初は合法だった不法残留とは異なり、入国そのものが違法である場合です。例えば、偽造・変造パスポートや密入国で入国したケースなどです。「その他」は不法残留、不法入国以外の退去強制事由を指します。わたしが見てきたケースでは資格外活動をしていた場合や風営法違反が多いですが態様はさまざまです。
(2)出国した年月日と空港名
退去強制を受けた外国人配偶者に交付された書面の記載などを参考に正確に記載します。
(3)当時使用していたパスポートの国籍、氏名、生年月日
当時使用していたパスポートの国籍、氏名、生年月日が現在と異なる場合は記入します。結婚を契機にお相手の氏名が変わっているケースが多いです。
配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【10】:退去強制歴の詳細
(4)退去強制前に夫婦が同居していた期間と住所
退去強制前に同居していた事実があり、かつ、それを立証することができる場合は、同居していた事実がないよりも、配偶者ビザの審査としては有利です。同居し共同生活を送っていた二人が退去強制により離れ離れになっているのであれば、人道的な配慮が必要であるかどうかについて検討がなされるからです。目安となる期間もありますので、みんビザがお勧めする行政書士に相談しましょう。
配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【11】:親族
11(1)記入する親族の範囲は、父母、兄弟姉妹です。祖父や祖母、従兄弟などを記載する必要はありません。
親族の構成が配偶者ビザの許否に影響するはずもなくありのままを記載すればよいのですが、ここで親族についてテキトウな記入をすると、将来、その親族が来日を希望する際に「親族訪問」の短期ビザをもらえなかったりしますから、かならず正確な情報を記載しましょう。
配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【11】:親族
11(2)「お子さん」はご夫婦の子だけでなく、お相手の前婚の子や未婚で産んだ子なども含みます。ご夫婦ともにお子さんがいらっしゃらない場合は、「なし」と記入します。
ご夫婦のうち、片方の子である場合は、「夫の長男」「妻の長女」などと記載します。ご夫婦の子がいる場合は、「夫婦の長男」「夫婦の長女」の要領で記載してください。
ここでお相手の子についてテキトウな記入をすると、将来、連れ子のビザ(定住者ビザ)を取得できなかったり、親族訪問の短期ビザをもらえなかったりしますから、かならず正確な情報を記載しましょう。
配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【12】:親族のなかで今回のご結婚を知っている方
該当する親族に〇をつけます。ご両親は知っているけれども兄弟姉妹は知らないという方はいらっしゃいます。兄弟姉妹の関係はそれぞれですから、あまりご心配はいりません。
ご両親がご存命なのに、ご両親が結婚の事実を知らないという場合はとてもレアなケースです。ご両親との関係も様々ですからそのようなこともあるはずですが、偽装婚は当然のことながらご両親に結婚(偽装婚)の事実を報告しないことが普通であるため、あらぬ疑念を生むことになります。ありのまま事実を記載しますが、なぜそうなのか(なぜご両親が結婚の事実を知らないのか)必ず別途フォローします。ご相談をお受けしていると、親御さんが認知症で「知らせているが分かっていない」など様々なケースに遭遇します。
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配偶者ビザ申請「質問書」の書き方【13】:署名
作成日付を入れたうえで署名します。「質問書」の最後に署名するのは外国人配偶者ではなく、日本人であるあなたです。つまり、この「質問書」の作成名義は日本人がわの結婚当事者であり、記入した内容に法的な責任をもつのも日本人の「あなた」です。
「質問書」で2回にわたり繰り返し警告されていますように(1ページ目冒頭と8ページ目の最後)、虚偽の事実を記載すると刑事罰に問われますから、真実のみを記載します。
不利な事実は隠したり偽ったりするのではなくありのままを記載し、それをどのようにフォロー・説明すべきかについて、みんビザがお勧めする配偶者ビザ専門の行政書士に相談しましょう。
質問書は、空欄(ブランク)に何かしらの文字が記入されていれば事足りるというものではなく、記入した内容が審査の対象となり、許可・不許可の結果に直結していきますので、ひとつひとつを吟味しながら、しかし偽りなく記入することが大切です。
入管は、1つだけのマイナス要因はそれを適切にカバーし、かつ、他には何らの不許可要因がないことを徹底的に立証することで大目に見てくれることもゼロではありませんが、2つ以上のマイナス要因を同時にかかえていると、問答無用で不許可にすることが多いので注意しましょう。入管の立場になると、マイナス要因をいくつも抱えている人は、不許可の判断を下しやすいということになります。
そのためには、配偶者ビザの要件をきちんと把握することが出発点となります。
配偶者ビザの条件をきちんと把握してから「質問書」を記入していくと、質問書の各記入欄がどの条件に関係しているのかがよく分かります。
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行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。
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