更新日時:2021年1月28日
行政書士 佐久間毅
コロナ禍における「在留資格認定証明書」について、日本有数レベルで外国人の日本入国をお手伝いしている東京・六本木のアルファサポート行政書士事務所がわかりやすく解説しています。
この記事は2021年1月28日現在で書かれており、今後、コロナの感染拡大状況に応じて入国が緩和されたり厳しくなったりしますので、最新の状況についてリンク先の官庁サイトを必ずご自身で確認し、情報をアップデートしてください。
分かりやすさを優先して記述していますので、より正確な表現での情報も、リンク先の官庁サイトでご確認ください。
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上図のように、外国人が海外から新規に日本へ入国する場合で、かつ、中長期的な在留を希望している場合には、3段階の審査が行われます。
在留資格認定証明書交付申請はこの3段階のうち1段階目の審査にあたりますが、昔はこの1段階目のステップは存在しませんでした。
しかしながら、昔の制度では非常に審査に時間がかかったことから、これをスピードアップするための改善策として、在外公館における審査の前段階に、在留資格認定証明書交付申請の制度が設けられました。
「在留資格認定証明書」とは、外国人が日本に家族として同居する、就労する、留学するなどの中長期的な目的での在留を希望する場合に、法務大臣が在外公館による査証審査のまえに予め審査し、その目的が在留資格該当性を有し、かつ、一部の在留資格については基準省令や告示に合致するときに、法務大臣がそれを証明する書面のことをいいます。
コロナ以前においては、主要な先進国の国籍をもつ方を中心として、短期であれば査証を取得せずに日本に入国・滞在することができました。
しかしながらコロナ禍においては、多くの国について査証免除制度は停止されていますので、ごく一部の例外の国の方を除いて、たとえ短期の滞在であっても在外公館で査証を取得しなければ日本に入国することができません。
〇参照:外務省ホームページ
2020年に発令された1回目の緊急事態宣言後しばらくは、日本の永住者でさえ日本に帰国することができないという非常に厳格な入国規制が敷かれていましたが、
その後徐々に入国規制が緩和され、主に3つのルートで外国人がコロナ禍においても新規入国することができるようになりました。
3.1 「特段の事情」がある場合
1つ目が「特段の事情」がある場合で、このルートは2回目の緊急事態宣言(2021年1月~)の最中でも維持されています。
在留資格認定証明書をお持ちの方で、かつ、特段の事情があると認められたかたは、このルートで日本に入国することができます。
一方で入国拒否対象国に指定されている国に滞在歴がある方が、たとえ在留資格認定証明書をお持ちであっても、「特段の事情」が認められないと日本に入国できません。
なにが「特段の事情」にあたるのかについては、法務省の通達で確認しましょう。
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3.2 レジデンストラック・ビジネストラック
2つ目が「レジデンストラック・ビジネストラック」で、このルートは2回目の緊急事態宣言(2021年1月~)の最中では停止されています。
くわしくは、外務省のホームページで確認しましょう。
〇参照:外務省ホームページ
3.3 令和2年9月25日の決定に基づく全ての国・地域からの新規入国
3つ目が「令和2年9月25日の決定に基づく全ての国・地域からの新規入国」で、このルートは2回目の緊急事態宣言(2021年1月~)の最中では停止されています。
在留資格認定証明書をお持ちの外国人が最も幅広く入国することができるのがこのルートですが、それだけに、主要3ルートの中では2回目の緊急事態宣言後、最も再開が遅くなることが予想されます。
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在留資格認定証明書の有効期間については、通常は「3か月間」有効とされていますが、コロナ禍での入国制限を踏まえ、つぎように取り扱われています(令和3年1月21日現在)。
① 2019年10月1日から同年12月31日までに作成された在留資格認 定証明書
⇒2021年4月30日まで有効とみなす
② 2020年1月1日から2021年1月30日までに作成された在留資格 認定証明書
⇒2021年7月31日まで有効とみなす
③ 2021年1月31日以降に作成された在留資格認定証明書
⇒作成日から「6か月間」有効とみなす。
本件取扱いは、上記 4①から③のいずれかに該当する在留資格認定証明書をお持ちの方で、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、日本への入国を予定していながら、同証明書の有効期間(3か月間)内に日本に上陸できない方であって、受入れ機関等が「引き続き、在留資格認定証明書交付申請時の活動内容どおりの受入れが可能である」としていることの確認ができた方が適用の対象となります。
また受入れ機関等が「引き続き、在留資格認定証明書交付申請時の活動内容どおりの受入れが可能である」としていることの確認は、
在外公館における査証(ビザ)発給申請時に、受入れ機関等から「引き続き、在留資格認定証明書交付申請時の活動内容どおりの受入れが可能である」ことを記載した文書の提出をもってすることとしています。
なおこの受け入れ機関等が在外公館に提出する確認書面は任意の様式で作成して差し支えありません。
コロナ禍における「在留資格認定証明書」の有効期限の取り扱いは、査証(ビザ)発給申請時に有効期間を経過した在留資格認定証明書についても対象となりますし、
査証発給申請中に有効期間を経過した在留資格認定証明書についても対象となります。
こちらは2020年に中国向けEMSなどにおいて実際に起こった事象です。
出入国在留管理局は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国際郵便の一時引受停止等の影響により、在留資格認定証明書の原本を海外へ郵送することができないときは、
査証申請や上陸申請において、原本に代えて、原本の写し(コピー)による提出を認める取扱いをしています。
なお、これらの郵便事情により、在留資格認定証明書交付申請に係る立証資料の原本が提出されない場合においても、原本の写しによる提出を認めています。
ただしこの場合は、入国後、在留資格認定証明書の原本を当該証明書の原本を提出できなかった理由書とともに、当該証明書の交付を受けた地方出入国在留管理局に返納(郵送可)しなければなりません。
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。
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