更新:2021年2月24日
行政書士 佐久間毅
もくじ
1. 香港と日本、どちらの国で先に結婚しても大変さは同じなの?
2. 香港人と【日本で先に】結婚をすることのメリット・デメリット
3. 香港人と【香港で先に】結婚することのメリット・デメリット
この記事では、香港人と日本人との結婚手続きについて、
日本で先に結婚する方法と、香港で先に結婚手続きを行なう方法にわけて、
東京のアルファサポート行政書士事務所がくわしく解説します!
香港は中国の特別行政区ですが、一国二制度を建前上は維持しており、婚姻法もイギリス法に近い制度となっています。
なお香港人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、
交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。
問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう。
配偶者ビザの条件の中には、国際結婚の完了後にはどうにもできない問題がいくつかあります(例えば交際期間など。)。
まだご結婚前であれば、交際期間などについて再考できるはずですので、関連記事「配偶者ビザの条件」などをよくご確認ください。
〇よく一緒に読まれている記事
>> 日本先行で香港人と結婚をする場合は、市区町村役場に結婚届を提出します。
>> 香港先行で香港人と結婚する場合は、結婚登記所のアポイントを取る(又は結婚挙行者の選定)ところからはじまります。
>> 香港先行で結婚をした場合は、最終的に両方の国で結婚を届け出ることができますが、日本先行ではできません。
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いいえ、同じではありません。したがって、カップルが置かれている様々な状況によって、どちらを選択すべきかが違ってきます。
以下を参考に決定しましょう。
香港人と日本で先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・結婚手続きが香港先行の場合よりもシンプルで簡単である
・香港人が短期滞在の場合でも可能である(ただし配偶者ビザへそのまま変更するには法律上のハードルあり。)
<デメリット>
・日本で成立した結婚は中国国内でも有効な結婚として認められることの裏返しとして、香港(中国)政府から結婚証明書を取得できない
【解説】
日本先行で香港人と結婚する方法は、香港で結婚するよりもシンプルなので、多くの方がこの方法で結婚されています。
しかしながら、今後香港を含む中国で暮らしていくという場合には、香港政府発行の結婚証明書を取得することができる香港先行で結婚することにも大きなメリットがあります。
結論としては、今後、日本で結婚生活をおくることを計画し、当面は香港で生活する予定がない場合は、日本先行でよいでしょう。
香港政府発行の結婚証明書を取得することができないと不安に思う方も多いでしょうが、実は、そちらのほうが国際的にはスタンダードと言えます。
アメリカ、ロシアといった大国も、香港と同じ制度なので、日本の結婚を先行させた場合にお相手の政府から結婚証明書を取得することができないことはそれほど珍しいことではありません。
他方で、日本先行で結婚をしてもお相手の国からきちんと結婚証明書を取得することができる国としては、ヨーロッパの大陸法系の国や、韓国、台湾、フィリピンなどです。
香港人と香港で先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・香港政府から「結婚証明書」を取得することができる
<デメリット>
・香港先行で結婚手続きを行なうと、日本先行で行なうよりも複雑で時間もかかる
・香港に結婚当事者2名がそろわないと結婚することができない(挙式の必要があるため)
【解説】
まず、日本先行で結婚手続きを行なうと、将来、中国(香港)政府発行の「結婚証明書」を取得することができなくなります。
なぜなら香港を含む中国という国は、外国で成立した結婚を特別な手続きをすることなくそのまま自国の結婚として認める国なので、日本で成立した結婚を香港政府に登録する手段が用意されていないからです。
したがって、今後日本ではなく香港や大陸中国で結婚生活を送るという場合には、香港政府から結婚証明書が発行される香港先行の方がなにかと便利といえます。
いっぽう、香港先行の結婚手続きは一国二制度の下、英米法の影響が強い香港の法制度にのっとって行われるため、日本よりも複雑で時間もかかります。
また、結婚手続きそのものも、「婚姻届」という書類を市区町村役場に提出すれば成立する日本の結婚手続きに比較して、香港の場合は結婚当事者2名が結婚式を挙げないと結婚が成立しません。
結論としては、今後、香港や大陸中国でながく結婚生活を送る予定のあるかたは、香港先行で結婚されると良いでしょう。
日本人と香港人が日本先行で結婚をする場合の手続きは、3ステップで完了します。
日本で結婚生活を送る場合はStep4に進みましょう。
Step1:香港人が、香港で「婚姻記録不存在証明書(Certificate of Absence of Marriage Record : CAMR))」を取得
【取得場所】婚姻登記・記録事務所(Marriage Registration and Records Office)
3/F, Low Block,
Queensway Government Offices,
66 Queensway,
Hong Kong
【取得方法】役所へ出向く、郵便、オンラインのいずれでも取得できます。
【取得料金】・結婚歴の検索 140香港ドル
・婚姻記録不存在証明書 680香港ドル
【取得にかかる時間】すべての書類と料金の支払いが確認できた日から7営業日前後
※「婚姻記録不存在証明書」が日本が求める「婚姻要件具備証明書」ではない理由
日本政府が国際結婚を成立させるために外国人に要求している「婚姻要件具備証明書」は、香港人が香港の法律に照らして、結婚の要件をすべて満たしていることを証明する書面です。
しかしながら香港政府は、日本と異なり、外国で成立した香港人の結婚を把握する手段をもっていません。
香港だけでなくイギリスやアメリカなど英米法系の国はそのような制度なのです。
したがって、香港政府は政府として結婚する香港人が本当に婚姻要件を満たしているのかを証明することができません。
香港政府が証明することができるのは、少なくとも香港政府には結婚した記録がないということだけなので、「婚姻記録不存在証明書」が発行されることとなります。
しかし、これでもきちんと日本で結婚できますのでご安心ください。
Step2:在日中国大使館で「婚姻要件具備証明書」を入手する。
※香港人が日本に短期滞在しているのか、中長期滞在しているのかによって、準備する書面が異なります。
事前にしっかり大使館で確認しましょう。
【必要書類】
1 パスポートと写真ページのコピー
2 住民票原本(3ヶ月以内有効)或いは在留カード原本及び両面コピー
3 声明書 ※大使館に置いてあります。
4 申請書
5 婚姻記録不存在証明書
6 その他指示されたもの
Step3:日本の市区町村役場へ婚姻届を提出
日本の市区町村役場へ結婚届を提出し、結婚を成立させます。
<必要書類>
・婚姻届
・婚姻要件具備証明書と日本語訳
・香港人のパスポート
・日本人の本人確認書類
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚をする場合
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国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step4:日本の配偶者ビザを申請する
日本での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
香港人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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Step1:結婚登記所(marriage registry)の予約を取る
香港での結婚手続きでは、実際の結婚式の前に、結婚登記所で結婚通知(notice of intended marriage)を行なう必要があります。
インターネット上でその予約を取ります。
・予約は先着順で、夫婦で予約できるのは1回までとされていますのでご注意ください。
・予約をインターネットで送信すると、結婚登記所へ出向く日時が返信メールで伝えられます。
・通知の有効期間は3カ月で、通知から結婚式までのあいだに15日間の結婚の公示をする必要と、結婚登記所から「結婚登録証明書(Certificate of Registrar of Marriage)」を受領する必要があります。
当日の結婚登記所のカウンターでの手続きの時間を短縮するために、結婚当事者の情報をオンライン上で事前に通知します。
この情報シートは当日の結婚登記所での所要時間を短縮するための下準備であり、「結婚通知」とは異なります。
なお、結婚登記所ではない場所で挙式する場合は、香港政府のウェブサイト上にリストアップされている結婚挙行者(civil celebrant)にコンタクトをとります。
結婚挙行者に会い、求められた情報を提供したうえで、結婚挙行者と報酬について合意しましょう。
Step2:結婚通知(notice of intended marriage)をおこなう
指定された日時に結婚登記所へ出向きます。事前に結婚当事者の情報を伝えているので、所要時間は30分前後とされています。
・結婚当事者は、法律上結婚することができることや偽装婚などではないことについての宣誓し、宣誓供述書を作成します。
・宣誓の必要があることから、英語または中国語を理解できない日本人当事者は、通訳を手配する必要があります(結婚式当日も同様です。)。
・日本人は、あらかじめ、在香港日本国総領事館で「婚姻要件具備証明書」を取得しておきます。
【手数料】305香港ドル
【必要書類】
・香港人 IDカード原本
・日本人 パスポート原本
婚姻要件具備証明書
・その他指示されたもの
Step3:結婚式をあげ、結婚を成立させる
3.1 結婚式前の準備
・結婚式当日までに、日本人が英語又は中国語を話せない場合は、通訳を手配します。
・結婚式に立ち会う18歳以上の証人2名を確認します。
3.2 結婚式当日
【持ち物】
・香港人のIDカード原本
・日本人のパスポート原本
・婚姻登録証明書(Certificate of Registrar of Marriage)
・その他指示されたもの
3.3 結婚式が始まる前に、結婚挙行者の面前で宣誓書に署名します。
※希望者はここで指輪の交換を行います。
3.4 結婚式が開始されたら、夫婦がそれぞれ結婚の意思を申し述べます。
3.5 結婚当事者、証人、結婚挙行者が「結婚証明書(marriage certificate)」に署名します。
3.6 結婚挙行者から「結婚証明書(marriage certificate)」を受け取ります。
Step4:日本に結婚を報告する
今後、日本で生活をする場合には、日本に帰国してから、香港で結婚が成立したことを報告するために市区町村役場に結婚届を提出します。
<必要書類>
・婚姻届
・結婚証明書とその日本語訳
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚する場合
・日本人の本人確認書類
・香港人のパスポート
・その他指示されたもの
〇よく一緒に読まれている記事
国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step5:日本の配偶者ビザを申請する
両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
香港人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。