更新:2021年2月23日
行政書士 佐久間毅
もくじ
1. ブラジルと日本、どちらの国で先に結婚しても大変さは同じなの?
2. ブラジル人と【日本で先に】結婚をすることのメリット・デメリット
3. ブラジル人と【ブラジルで先に】結婚することのメリット・デメリット
この記事では、ブラジル人と日本人との結婚手続きについて、
日本で先に結婚する方法と、ブラジルで先に結婚手続きを行なう方法にわけて、
東京のアルファサポート行政書士事務所がくわしく解説します!
なおブラジル人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、
交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。
問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう。
配偶者ビザの条件の中には、国際結婚の完了後にはどうにもできない問題がいくつかあります(例えば交際期間など。)。
まだご結婚前であれば、交際期間などについて再考できるはずですので、関連記事「配偶者ビザの条件」などをよくご確認ください。
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>> 日本先行でブラジル人と結婚をする場合は、市区町村役場に結婚届を提出します。
>> ブラジル先行でブラジル人と結婚する場合は、日本人が婚姻要件具備証明書を取得します。
>> 日本先行で結婚しても、ブラジル先行で結婚をしても、最終的に両方の国で結婚を届け出ることができます。
いいえ、同じではありません。ブラジル先行のときはブラジル法に基づいて、日本先行の場合は日本法に基づいて結婚をするからです。
したがって、カップルが置かれている様々な状況によって、どちらを選択すべきかが違ってきます。
以下を参考に決定しましょう。
ブラジル人と日本で先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・結婚手続きがブラジル先行の場合よりもはるかにシンプルで簡単である
<デメリット>
・日本先行で結婚しても、ブラジル政府に結婚を届け出ることができるので特にありません。
【解説】
日本先行でブラジル人と結婚する方法は、ブラジルで結婚するよりもはるかにシンプルなので、多くの方がこの方法で結婚されています。
ブラジル人とブラジルで先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・ブラジル先行の手続きは複雑なので、大きなメリットはありませんが、結婚当事者のお二人がブラジル在住であれば、ブラジルで結婚することになるでしょう。
<デメリット>
・ブラジル先行で結婚手続きを行なうと、日本先行で行なうよりも複雑で、公告期間があるので時間もかかる
・ブラジルに結婚当事者2名がそろわないと結婚することができない
【解説】
率直に言って、面倒な手続きになるため日本先行の方がお勧めですが、現在お二人がブラジルいらっしゃるのであれば、ブラジル先行の結婚が選択されるでしょう。
日本人とブラジル人が日本先行で結婚をする場合の手続きは、3ステップで完了します。
日本で結婚生活を送る場合はStep4に進みましょう。
Step1:ブラジル人が、駐日ブラジル大使館で「婚姻要件具備領事館宣誓書」を取得
ブラジル人が、自身がをブラジル法に照らして結婚することができることを証明するための書類「婚姻要件具備領事館宣誓書(Declaração Consular de Estado Civil)」を、在日ブラジル大使館で取得します。
【必要書類】
・婚姻要件具備領事館宣誓書申請書 ※必要事項をすべてローマ字で訂正なく記入し、領事官職員の面前で署名します。
・結婚当事者のパスポート原本とその写し(身分事項が記載されているページ)
・在留カードまたは住民票の原本
・申請人の婚姻状況を証明する6か月以内に発行されたブラジルの書面
‐未婚者の場合:6ヶ月以内にブラジルで再発行された出生証明書
‐離婚の場合:離婚の記載事項のある6ヶ月以内にブラジルで再発行の婚姻証明書
‐死別の場合:配愚者の死亡の記載事項がある6ヶ月以内にブラジルで再発行の婚姻証明書
・日本人の身分証明書のコピー ※パスポート、日本国政府発行の運転免許証
【料金】1950円
【証人】2名
・婚約者同士で互いの証人になることはできません。
・証人がブラジル国籍者の場合、申請時に申請者と一緒に大使館へ同行する必要があります。
証人の有効な旅券(旅券番号、身分事項が記載されているページ)又はRG(ブラジル身分証明書)原本とそのコピーをお待ちください。
証人は当日、領事官職員の面前で署名します。
・証人が日本人などブラジル国籍でない場合、申請用紙に記す署名を、日本の公証役場にて公証人の面前で行う必要があります(面前認証)。
この場合、証人の大使館への同行は免除されるが、証人の身分を証する書面(旅券や日本国発行の運転免許証)のコピーが必要。
・証人がブラジル国籍でも大使館への同行が困難な場合は、日本の公証役場における面前認証ができます。
Step2:日本の市区町村役場へ婚姻届を提出
日本の市区町村役場へ結婚届を提出し、結婚を成立させます。
【必要書類】
・婚姻届
・婚姻要件具備領事館宣誓書(Declaração Consular de Estado Civil)と日本語訳
・ブラジル人のパスポート
・ブラジル人の両親の同意書(Consentimento de Autorização dos Pais) ※ブラジル人が18才未満の場合
・ブラジル人の両親の同意書の日本語訳
・日本人の本人確認書類
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚をする場合
・その他指示されたもの
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国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step3:駐日ブラジル大使館に、日本で成立した結婚を報告
日本で結婚を成立させたあと、駐日ブラジル大使館に置いてブラジル政府に結婚を報告します。
【必要書類】
1)婚姻登録申請用紙 ※ローマ字で記入。ブラジル国籍の届出人が署名すること。
2)日本の市役所又は法務局で発行された下記の書類
a. 婚姻受理証明書 1通
b. 婚姻届出記載事項証明書添付書類の写し付き 1通
3)ブラジル身分証明書 (パスポート、又はRG、又はブラジルの運転免許証)、原本とそのコピー
4)婚姻状況を証明するブラジルの書類(原本とそのコピー):
上記「婚姻届記載事項証明書添付書類の写し付き」の書類中に有効期限内で判読可能なコピーが添付されている場合、婚姻状況を証明する書類の原本の提出は必要ない。
同書類に破損、乱丁、またはホッチキスを外した跡がある場合、この書類の受け付けは不可となります。
5)婚姻要件宣誓書(婚姻届記載事項証明書添付書類の写し付きの書類中にコピーが添付されている場合、提出不要)。
6) 戸籍謄本 90日以内に発行されたもの。婚姻により氏を変更された場合は、婚姻後の氏名が記載された戸籍謄本の原本を提出すること。
7)日本国籍者の配偶者の身分証明書~次のうちいずれか一つ(旅券有効な物/日本国発行の運転免許書/個人番号カードMY NUMBER)
8) 婚姻状況に関する書類
・ブラジル国籍の配偶者と初めて婚姻する場合、外国籍の配偶者は、領事館職員の面前において
「ブラジル国籍者と婚姻歴がない旨宣誓する書面」(Declaração de que nunca se casou com brasileiro(a))に署名するため領事館に出向く必要があります。
来館できない場合は、公証役場での署名の面前認証が必要となります。
・ブラジル国籍者と離婚歴がある場合、離婚の記載事項が記載されている、ブラジルの婚姻証明書の離婚記載事項(原本とそのコピー)。
・日本国籍又は外国人と離婚歴がある場合、その離婚の記載がある戸籍謄本(90日以内に発行されたもの)。
【費用】
2600円
Step4:日本の配偶者ビザを申請する
日本での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
ブラジル人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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ブラジルでの結婚手続きは、ブラジルで結婚などの戸籍事務を取り扱うCartórioという役所へ出向くことからはじまります。
このCartórioという役所は、日本の法務局、公証人役場、市区町村役場の戸籍課をすべてまとめたような、ブラジルにおける法律事務を総合的に取り扱う役所です。
この役所には公証人(Tabelião)がいるのですが、在日ブラジル大使館はこの役所(Cartório)のことを「公証役場」ではなく「登記役場」と日本語訳しています。結婚手続きとの関係では、身分事項の登録を行なう日本の市区町村役場の戸籍課のような役割が前面にでてきます。しかしながら、日本人が用意する書面のポルトガル語訳の公証もこのCartórioにいる公証人(Tabelião)が行ないますので、ある意味、ワンストップサービスが実現しているともいえるでしょう。
ブラジルでも結婚にあたり宗教的な儀式がおこなわれることがありますが、それは法的な意味をもちません。
Step1:ブラジルの登記役場(Cartório)で、必要書類等の情報を得る
結婚に必要な書類は州ごとに少しずつ異なりますので、必ず住居地を管轄する役所で情報を収集します。
なお、ポルトガル語への翻訳が必要な場合は、公的資格をもつ翻訳者が翻訳し、公証人(Tabelião)の認証を受ける必要があります。
Step2:在ブラジル日本大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得する
日本人が、在ブラジル日本国大使館で、婚姻要件具備証明書「Certificado de Requisitos para Casamento」を取得します。
婚姻要件具備証明書とは、日本人が日本法に照らして結婚することができる状況にあることを日本政府が証明する書面です。
【必要書類】
・証明書発給申請書
・発行から3か月以内の戸籍謄本の原本
・申請人の本人確認書類(旅券)
・その他指示されたもの
Step3:ブラジルの登記役場(Cartório)で「結婚許可証」の申請をする
結婚当事者の両名が結婚許可証の申請書に署名します。証人2名(成年に達し、有効な身分証明書を提示できる者)の立ち合いが必要です。
結婚許可証の申請書には、夫婦の財産を今後どのように管理していくかについての取り決め(Regime de Bens )の記載が求められることが通常ですのであらかじめ決定しておく必要があります。
実は日本の民法にも「夫婦財産契約」という制度がある(第758条第1項)のですが、日本ではオプションとして位置づけられているので契約を結ばないことの方が多い(というよりも、そもそも制度の存在をご存じない方が多数です。)ですが、ブラジルでは夫婦が婚姻前と婚姻後に獲得する財産を夫婦の共有にするのか否かといった点を明確にします。
結婚許可証の申請に必要な書類は州ごとに異なりますが、一般的な書類はつぎのとおりです。
【必要書類】
・日本人の婚姻要件具備証明書(Certificado de Requisitos para Casamento)
・日本人のパスポート原本
・日本人のパスポートの写し
・前婚がある場合は、離婚証明書や死亡証明書等
・申請書
・その他指示されたもの
Step4:結婚が公告される
公告とは、予定される結婚に異議を唱える人がいないか確認する手続きです。公告期間は州により規定が異なります。
公告期間は15日、30日、60日と様々です。
もし異議を唱える人がいる場合は、その問題を解決してから、再び結婚手続きが前へ進むこととなります。
Step5:結婚許可証を受領する
公告期間中に異議を申し出たものがいなかったときは、結婚許可証(Habilitação do casamento)が発行されます。
結婚許可証の有効期限は3カ月なので、その間に結婚式をあげることとなります。
Step6:結婚式をあげ、結婚を成立させる
結婚当事者2名、証人2人の参加が必要です。
ブラジルでは、法律上の結婚を成立させる唯一の方法が民事婚とされています。ブラジルでは、結婚登録所での民事婚の前後に宗教的な儀式をしますが、この宗教的儀式のみでは結婚は成立しません。つまり、宗教婚は認められていないということです。
結婚が完了すると、結婚証明書(Certidão de Casamento)を取得できます。
Step6:日本に結婚を報告する
今後、日本で生活をする場合には、日本に帰国してから、ブラジルで結婚が成立したことを報告するために市区町村役場に結婚届を提出します。
【必要書類】
・婚姻届
・ブラジル政府発行の結婚証明書(Certidão de Casamento)
・結婚証明書の日本語訳 ※PDFをご参照。
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚する場合
・日本人の本人確認書類
・ブラジル人の出生証明書(Certidão de Nascimento)
・ブラジル人のパスポート
・その他指示されたもの
〇よく一緒に読まれている記事
国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step7:日本の配偶者ビザを申請する
両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
ブラジル人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
〇よく一緒に読まれている記事
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。