更新:2021年2月24日
行政書士 佐久間毅
>> 日本先行でドイツ人と結婚をする場合は、市区町村役場に結婚届を提出します。
>> ドイツ先行でドイツ人と結婚する場合は、まず日本人が日本国内においてドイツへ持参する書面を準備します。
>> 日本を先行させてもドイツを先行させても、最終的に両方の国で結婚を届け出ることができます。
ドイツ人と日本人とのご結婚手続きは、日本を先行させてもドイツを先行させてもどちらも大変さはそう違いません。
若干、ドイツ先行の手続きの方が時間と手間がかかる程度です。
したがって、今後、どちらの国で結婚生活を送るのかや、今現在カップルがどの国にいるのかなどによって、
どちらの国の手続きを先行させるのかを決めましょう。
この記事ではまず、日本先行でドイツ人と日本人とがご結婚される手続きを、そのあとに、ドイツを先行させる結婚手続きについて解説していきます!
なおドイツ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、
交際期間が短い、収入の継続性・安定性・額のいずれかに問題があるケースです。
問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう。
配偶者ビザの条件の中には、国際結婚の完了後にはどうにもできない問題がいくつかあります(例えば交際期間など。)。
まだご結婚前であれば、交際期間などについて再考できるはずですので、関連記事「配偶者ビザの条件」などをよくご確認ください。
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※日本の市区町村役場で求められる書類は、役所や担当者により異なりますので、かならず事前に確認します。
Step1:ドイツ人との結婚を日本で成立させる
1.1 ドイツ人がドイツにおいて「婚姻要件具備証明書」と「出生証明書」を取得する
・婚姻要件具備証明書(Ehefähigkeitszeugnis)
・出生証明書(Geburtsurkunde)ドイツ人の出生地の戸籍役場(Standesamt、シュタンデスアムト)で取得します
(注1)ドイツの書面は、通常そのままでは日本で使用できません。アポスティーユを取得しましょう。
アポスティーユとは、取得した書面が本物であることをドイツ政府が証明する手続きです。
(注2)ドイツ人が婚姻要件具備証明書を取得する際、結婚するドイツ人または日本人のいずれかに ドイツ以外の国(日本を含む)での離婚歴がある場合には、
外国における離婚の承認申請書(Antrag auf die Anerkennung der ausländischen Ehescheidung )の提出を求められる可能性があります。
また、調停もしくは裁判で離婚が成立した場合には、判決文の提出を求められることがあります。
実際、東京のアルファサポート行政書士事務所のお客様の中には、日本人男性に離婚歴があり、それを証明するため、わざわざドイツに出向かれた方がおられます。
ドイツ人が自国の婚姻要件具備証明書を取得するために、結婚相手である日本人がドイツに出向かなければならないのは比較法的にも異例ですが、ドイツでは実際にあります。
1.2 婚姻要件具備証明書と出生証明書を日本語訳する
日本の市区町村役場へ提出する日本語訳は、結婚当事者がご自身でしても構いません。
ただし当然のことながら、正確に翻訳しなればなりません。
1.3 日本の市区町村役場へ婚姻届を提出して、結婚を成立させる
婚姻届が受理された時点で日本側の結婚手続きは完了です。
日本で成立した結婚はドイツでも有効ですが、ドイツでも登録しなければ、その事実を他人(日本の入管など)に証明することが難しいです。
結婚が受理されたら、ドイツ側へ報告するため「戸籍謄本」を取得します。
【必要書類】
〇日本人の必要書類
・婚姻届
よく一緒に読まれている記事
・国際結婚 婚姻届 ※日本先行で国際結婚をする際の、婚姻届の書き方について解説しています。
・戸籍謄本 ※本籍地以外の市区町村役場に婚姻届を提出する場合
・身分証
〇ドイツ人の必要書類
・ドイツ人の婚姻要件具備証明書+日本語訳
・ドイツ人の出生証明書+日本語訳
・ドイツ人のパスポート ※国籍証明書として
・その他
Step2:戸籍謄本に、日本の外務省でアポスティーユをえる
アポスティーユとは市区町村役場で取得した戸籍謄本が本物であることを日本外務省が証明する手続きです。
Step3:戸籍謄本に、認証翻訳をえる
戸籍謄本は日本語で書かれているため、そのままではドイツ政府に提出できないためドイツ語訳を入手します。
また、翻訳は正確であることをドイツ政府が確信できる必要があるため、ドイツの公認翻訳士による認証翻訳を得ます。
日本国内在住の公認翻訳士については、こちらをご参照。
Step4:日本で成立した結婚をドイツへ報告する
日本で成立した結婚をドイツ政府に報告しますが、在日ドイツ大使館・総領事館で行なうことができます。
申請時には夫または妻がドイツ大使館に出向いて手続きを行いますが、事前に予約が必要ですのでご注意ください。
なおドイツ法に則った姓の選択手続きを伴う場合は、ご夫婦そろって出向く必要があります。
ドイツ国外でなされた婚姻はドイツの婚姻登記簿(Eheregister)に記載することができます。
登録後、希望すれば戸籍役場からドイツの婚姻証明書(Heiratsurkunde)を取得することができます。
【必要書類】
・婚姻登記簿登録申請書(ドイツ語)
・戸籍謄本(夫婦いずれも日本国籍でない場合は婚姻届受理証明書、あるいは、夫婦のどちらかが日本国籍であっても婚姻がまだ戸籍に記載されていない場合には婚姻届受理証明書)。
・夫および妻のパスポート
・夫および妻の出生証明書(日本国籍者の場合は戸籍謄本)
・場合によっては夫または妻の氏名の証明書
再婚の方は、以下の書類も必要です。
・以前の婚姻についての婚姻証明書(Heiratsurkunde)(日本国籍者が日本国内で婚姻した場合は戸籍謄本)
・以前の配偶者の死亡証明書(日本国籍者の場合は戸籍謄本)または
・裁判の判決文など、以前の婚姻を解消した証明(日本国籍者の協議離婚の場合は戸籍謄本)、場合によってはドイツの州司法庁による離婚の承認
Step5: 日本の配偶者ビザを申請する
両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
ドイツ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入の継続性・安定性・額のいずれかに問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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Step1:日本人がドイツへ持参する書面を入手する
・戸籍謄本 ※市区町村役場で取得します
※再婚の場合は、過去の婚姻・離婚年月日が記された戸籍謄本
・婚姻要件具備証明書 ※法務局で取得します
・住民票 ※市区町村役場で取得します
Step2:日本人が日本外務省でアポスティーユを取得する
日本人が取得した書面はそのままではドイツ政府に提出することができません。日本外務省でアポスティーユを取得します。
アポスティーユとは、日本人が準備した書面が「本物」であることについて、日本外務省がお墨付きを与える手続きです。
Step3:日本人の書面に認証翻訳を取得する
日本国内在住のドイツ公認翻訳士もいらっしゃいますが、書類の提出先であるドイツの戸籍役場(Standesamt)によっては、
その役場が指定する翻訳者による訳文しか受け付けない場合があります。
認められる公認翻訳士について事前にドイツの戸籍役場(Standesamt)に確認します。
ドイツ公認翻訳士についてはこちら。
Step4:ドイツの戸籍役場へ書類を提出
ドイツ国内の住所地の戸籍役場(Standesamt)に書面(日本人は上記書面、ドイツ人は出生地で取得した「出生証明書(Geburtsurkunde)」)を提出します。
Step5:結婚式を挙げる
住所地の戸籍役場結婚式の日時を決めて、当日、二人一緒に戸籍役場に出向きます。戸籍役場の担当者が結婚式を執り行ってくれます。
結婚式はながくても1時間程度で、その間に書面にサインをしたり、誓いの言葉をのべたり、希望すれば指輪の交換もできます。
結婚成立後、戸籍役場からドイツの婚姻証明書(Heiratsurkunde)を取得します。
Step6:日本の市区町村役場へ結婚が成立したことを報告する
【必要書類】
・婚姻届
よく一緒に読まれている記事
・国際結婚 婚姻届 ※ドイツ先行で国際結婚をする際の、婚姻届の書き方について解説しています。
・ドイツの結婚証明書
・ドイツ人のパスポート原本
・日本人の本人確認書類
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外に届け出る場合
Step7: 日本の配偶者ビザを申請する
両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
ドイツ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入の継続性・安定性・額のいずれかに問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。