更新:2020年11月3日
行政書士 佐久間毅
この記事では、トルコ人と日本人との結婚手続きについて、
日本で先に結婚する方法と、トルコで先に結婚手続きを行なう方法にわけて、
東京のアルファサポート行政書士事務所がくわしく解説します!
なおトルコ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、交際期間が短い、収入の継続性・安定性・額に問題がある、難民申請中であるケースです。
問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう。
配偶者ビザの条件の中には、国際結婚の完了後にはどうにもできない問題がいくつかあります(例えば交際期間など。)。
まだご結婚前であれば、交際期間などについて再考できるはずですので、関連記事「配偶者ビザの条件」などをよくご確認ください。
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>> 日本先行でトルコ人と結婚をする場合は、市区町村役場に結婚届を提出します。
>> トルコ先行でトルコ人と結婚する場合は、日本人がトルコに渡航します。トルコ人だけでは結婚が成立しません。
>> 日本先行で結婚しても、トルコ先行で結婚をしても、最終的に両方の国で結婚を届け出ることができます。
いいえ、同じではありません。トルコではトルコ法に基づいて、日本では日本法に基づいて結婚するためです。
したがって、カップルが置かれている様々な状況によって、どちらを選択すべきかが違ってきます。
以下を参考に決定しましょう。
なお、トルコ人の多くがイスラム教徒ですが、トルコ人はイスラム教徒であっても非イスラム教徒と結婚することができます。
他国のイスラム教徒(たとえばインドネシア人)と結婚するときは、日本人がイスラム教徒に改宗する必要があるので、トルコはイスラム教国のなかでもかなり柔軟といえます。
トルコ人と日本で先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・お二人が日本に滞在している場合には便利な方法である
・トルコ先行で結婚をするよりも時間がかからない
・郵送でやり取りするため、在日トルコ大使館へ出向く必要がない
<デメリット>
・特にありません。
【解説】
日本に日本人とトルコ人の結婚当事者おふたりがいらっしゃるときに、多く選択されている方法です。
在日トルコ大使館で結婚を登録できるので、デメリットは特にありません。
トルコ人とトルコで先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・おふたりがトルコに滞在しているときに便利な方法である
<デメリット>
・かならず日本人がトルコに渡航して、結婚式を挙げなければ結婚が成立しない
【解説】
現在お二人がトルコにいらっしゃるのであれば、トルコ先行の結婚が選択されるでしょう。
なお、日本の民法には「婚約」に関する規定はなく、婚約をせずにいきなり結婚をすることも可能ですが、トルコ民法には婚約についての規定があり、夫婦が結婚することを約束した場合に婚約するとされています(トルコ民法118条)。
日本人とトルコ人が日本先行で結婚をする場合の手続きは、3ステップで完了します。
日本で結婚生活を送る場合はStep4に進みましょう。
Step1:トルコ人が、在日トルコ大使館で「婚姻要件具備証明書」「戸籍謄本」を取得する
トルコ人のお相手が、在日トルコ大使館で、婚姻要件具備証明書と戸籍謄本(Nüfus Kayıt Örneği)を取得します。
戸籍謄本(Nüfus Kayıt Örneği)は、日本の市区町村役場でトルコ人の出生証明書を求められたときに提出します。
在日トルコ大使館へ出向く必要はなく、郵送(現金書留)で請求することができます。
【必要書類】
・日本人とトルコ人のパスポート写し
※日本人がパスポートを所持していないときは、運転免許証または健康保険証のコピーで代替可能です。
※運転免許証または健康保険証の場合は、氏名のアルファベット表記を鉛筆で書き添えます。
・嘆願書(dilekçe)
※結婚手続きのために、在日トルコ大使館領事部において、婚姻要件具備証明書と戸籍謄本を取得したい旨を書いた依頼文。
※トルコ人がトルコ語で作成します。
・返信用封筒
※定型封筒に切手を貼付したもの。
・現金3800円
※婚姻要件具備証明書が2500円、戸籍謄本が1300円
Step2:日本の市区町村役場へ婚姻届を提出
日本の市区町村役場へ結婚届を提出し、結婚を成立させます。
【必要書類】
・婚姻届
・トルコ人の婚姻要件具備証明書
・トルコ人の戸籍謄本(Nüfus Kayıt Örneği)
・トルコ人のパスポート
・日本人の本人確認書類
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚をする場合
・その他指示されたもの
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国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step3:トルコ側に、日本で成立した結婚を報告
日本で結婚を成立させたあと、在日トルコ大使館に書類を郵送し、トルコ政府に結婚を報告します。
【必要書類】
・婚姻届の記載事項証明書
※日本の市区町村役場で取得
・日本の戸籍謄本
※結婚後のものを日本の市区町村役場で取得
※戸籍謄本の本人・両親の名前、出生地に鉛筆でアルファベット表記で読み方を記載する
パスポートを持っている場合は、アルファベット表記はパスポートと同じ表記にする
・結婚当事者2名のパスポート写し
※日本人がパスポートを所持していないときは、運転免許証または健康保険証のコピー
・嘆願書(dilekçe)
※トルコ人がトルコ語で作成します。
※トルコ人が日本の配偶者ビザの手続きをする場合の嘆願書の内容は次のとおり。
【記載内容】
・日本で婚姻手続きをしたのでトルコで登録してほしいこと
・配偶者ビザの手続きをするので、戸籍謄本(Nüfus Kayıt Örneği)を発行してほしいこと
・日本人配偶者の生年月日、出生地、両親の名前
・配偶者ビザの申請書類を提出する出入国在留管理局(例:東京出入国在留管理局)
・現金1300円(Nüfus Kayıt Örneğiの代金) ※日本の配偶者ビザを申請しないときは不要
・返信用封筒(定型封筒に切手を貼ったもの)※日本の配偶者ビザを申請しないときは不要
Step4:日本の配偶者ビザを申請する
日本での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
トルコ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題がある、難民申請中であるケースです。
問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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Step1:日本人が、在トルコ日本大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得する
日本人が、在トルコ日本国大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得します。日本人本人が大使館の窓口で申請します。
英語又はトルコ語のみで発行されます。
【必要書類】
・申請書(大使館にに備え付け)
・本人を確認できる公文書:旅券など
・戸籍謄(抄)本:発行日より3ヶ月以内の可能な限り新しいもの
〇参考
Step2:日本人の「婚姻要件具備証明書」に認証をうける
在トルコ日本国大使館で取得した日本人の婚姻要件具備証明書は、例えばトルコの首都アンカラで結婚をする場合には、首都アンカラにあるトルコ外務省の領事部の認証を受ける必要があります。トルコ外務省での認証には手数料がかかり、トルコリラで支払います。
トルコ外務省領事部(MFA)
Dr. Sadik Ahmet Cad. No.8 Balgat, Ankara, Tel: 0-312-292-2030
平日9:00-12:00,14:00-15:30
Step3:トルコの結婚登記所で結婚の申請をする
トルコ人の常居所を管轄する結婚登記所で、当事者両名がそろって結婚を申請します。結婚登記は市役所では市長又は職員が、村では村長が行ないます(トルコ民法134、135条)。
結婚登記吏員は、婚姻要件をみたしている確証を得たときは、結婚当事者に結婚式の日時を通知します。結婚当事者が希望する場合には結婚許可書を交付します。結婚許可書は交付日から起算して6か月以内に、結婚当事者が結婚登記吏員の面前で結婚することができることを保証する書面のことをいいます(トルコ民法139条)。
【必要書類】
・結婚宣誓書(トルコ語でEvlenme Beyannamesi)
・日本人の婚姻要件具備証明書 ※トルコ外務省の認証済み
・国営の医療機関から発行された健康診断書(日本人・トルコ人の両者とも)
※トルコ語で、"Saglik Ocagi" または "Devlet Hastanesi"と呼ばれています。民間の病院や診療所発行の健康診断書は使用できません。
※健康診断書には、血液型、HIV、B型・C型肝炎、梅毒の血液検査の結果が含まれ、伝染病に罹患していないことが記載されます。
健康診断書には、当事者の写真が貼付され、医師の押印が必要です。
・新郎新婦の写真
※パスポートサイズで各6枚
・パスポート
※トルコ語に翻訳され、トルコの公証人の公証を受けたもの
・その他指示されたもの
Step4:結婚局で、結婚式をあげる
結婚式は、結婚局において、結婚登記吏員と判断能力を有する成人の証人2名の立会いの下、公開で行われます。結婚式は、結婚登記吏員が認める結婚局以外の場所で行なうこともできます。
結婚式は10分程度ですがトルコ語で進行するため、日本人がトルコ語を理解しないときは、通訳の手配が必要になります。
結婚式では結婚登記吏員が、結婚当事者双方に結婚することを希望するか尋ね、結婚は両当事者が結婚を希望する旨を述べたときに成立します。結婚登記吏員は、結婚式が終了後、ただちに「家族手帳」を交付します。
この家族手帳が、トルコ側の結婚証明書です。
法的は結婚の効力は、宗教的な儀式が行われるか否かに関係なく、上記のプロセスで成立します。
Step5:日本に結婚を報告する
日本に帰国してから、または在トルコ日本国大使館で、トルコで結婚が成立したことを報告します。
【必要書類】
・婚姻届
・トルコの婚姻証明書(家族手帳)
・婚姻証明書の日本語訳
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚する場合
・日本人の本人確認書類
・トルコ人の出生証明書
・トルコ人の出生証明書の日本語訳
・トルコ人のパスポート
・その他指示されたもの ※適宜、アポスティーユを取得してください。
〇よく一緒に読まれている記事
国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step6:日本の配偶者ビザを申請する
両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
トルコ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。