更新:2020年11月3日
行政書士 佐久間毅
この記事では、スペイン人と日本人との結婚手続きについて、
日本で先に結婚する方法と、スペインで先に結婚手続きを行なう方法にわけて、
東京のアルファサポート行政書士事務所がくわしく解説します!
なおスペイン人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、
交際期間が短い、収入の継続性・安定性・額に問題があるケースです。
問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう。
配偶者ビザの条件の中には、国際結婚の完了後にはどうにもできない問題がいくつかあります(例えば交際期間など。)。
まだご結婚前であれば、交際期間などについて再考できるはずですので、関連記事「配偶者ビザの条件」などをよくご確認ください。
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>> 日本先行でスペイン人と結婚をする場合は、市区町村役場に結婚届を提出します。
>> スペイン先行でスペイン人と結婚する場合は、日本人がスペインに渡航する必要があります。
>> 日本先行で結婚しても、スペイン先行で結婚をしても、最終的に両方の国で結婚を届け出ることができます。
いいえ、同じではありません。スペインではスペイン法に基づいて、日本では日本法に基づいて結婚するためです。
したがって、カップルが置かれている様々な状況によって、どちらを選択すべきかが違ってきます。
以下を参考に決定しましょう。
スペイン人と日本で先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・お二人が日本に滞在している場合には便利な方法である
<デメリット>
・在日スペイン大使館で結婚の登録ができるので、特にありません。
【解説】
日本に日本人とスペイン人の結婚当事者おふたりがいらっしゃるときに、多く選択されている方法です。
手続きは他のヨーロッパ諸国に比べると面倒ですが、それでも在日スペイン大使館で結婚の登録ができるため、スペイン本国で結婚するときと比較して特にデメリットはありません。
スペイン人とスペインで先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・おふたりがスペインに滞在しているときに便利な方法である
<デメリット>
・日本で先に結婚するときと比較して、時間がかかる(ただし日本先行の場合も相当な時間がかかります。)
【解説】
現在お二人がスペインにいらっしゃるのであれば、スペイン先行の結婚が選択されるでしょう。
日本人とスペイン人が日本先行で結婚をする場合の手続きは、3ステップで完了します。
日本で結婚生活を送る場合はStep4に進みましょう。
Step1:スペイン人が、在日スペイン大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得する
スペイン人が在日スペイン大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得するには、他のヨーロッパ諸国と比較しても手間と時間がかかります。おおまかな流れは次のとおりです。
手順1:在日スペイン大使館に必要書類を、持参または郵送する
手順2:結婚要件を満たしているか書類で確認ののち、大使館等に15日間公示される
手順3:領事面接の予約を設定する
手順4:領事面接当日に、「婚姻要件具備証明書」を受領する
手順1:在日スペイン大使館に必要書類を、持参または郵送する
つぎの書類を、在日スペイン大使館へ持参するか郵送します。
大使館窓口へ持参するときには、時間に気をつけましょう(平日9時30分から12時30分,14時から15時)。
【必要書類】
必要書類は、発行日から90日以内のものでないと受付されません。
- 結婚手続き申請用紙(Solicitud dirigida al Juez Encargado del Registro Civil)
※申請者双方が署名します。
(スペイン人の必要書類)
- スペイン人の出生証明書(CERTIFICADO LITERAL DE NACIMIENTO)
※スペインの市民登録局で、抄本ではなく謄本を取得します。
※オンライン申請することができますが、日本までは送ってくれません。
https://sede.mjusticia.gob.es/cs/Satellite/Sede/es/tramites/certificado-nacimiento
- 直近の過去2年間に居住した市町村が発行する居住証明書(ERTIFICADO DE EMPADRONAMIENTO)
※結婚の公示をする場所を決定する必要があるため、2年分の居住証明が必要となります。
※2年前から現在までに居住した市町村から取り寄せます。
※市区町村によりますが、こちらも多くの場合オンライン申請が可能です。
- パスポートおよび国民身分証明所(DNI)のコピー
- スペインの裁判所が発行する離婚判決証明書(sentencia de divorcio)、あるいはスペインの市民登録局(Registro Civil)が発行する離婚の事実が記載される結婚証明書(謄本)
※スペイン人に離婚歴がある場合に必要です。
- 市民登録当局が発行する亡くなった配偶者の死亡を証明する書類
※スペイン人に死別歴がある場合に必要です。
(日本人の必要書類)
- 日本人の戸籍謄本
※スペイン語訳を作成。手書きの翻訳は受付されません。
- 直近の過去2年間に居住した市町村が発行する住民票
※結婚の公示をする場所を決定する必要があるため、2年分の住所証明が必要となります。
※2年前から現在までに居住した市町村から発行をうけます。
- 有効なパスポートまたは運転免許証のコピー
- 離婚について記載されている戸籍謄本
※日本人に離婚歴がある場合に必要です。
- 市区町村役場が発行する亡くなった配偶者の死亡証明書
※日本人に死別歴がある場合に必要です。
手順2:結婚要件を満たしているか書類で確認ののち、大使館等に15日間公示される
在日スペイン大使館は書類を持参または郵送の方法で受領すると、まず書類を精査し、スペイン人が婚姻要件を満たしているか精査します。
その後、「結婚のための掲示」を当大使館の掲示板で15日間行います。いわゆる「結婚の公示(notice)」です。
なお、スペイン人の人口が25,000人に満たないスペイン国内の市長村に過去2年間に居住していた事実がある場合は、その市町村にも大使館が連絡をとりそこでも掲示を行います。
そのために、必要書類で過去2年間どこに住んでいたかを証明する必要があります。
手順3:領事面接の予約を設定する
15日間の公示が完了すると、領事官からメールで領事面接が可能な日程の提示を求められます。
ここがけっこう曲者で、毎年、なかなか領事面接の日程が設定できない(領事官が忙しく、相当後の日程しか空いていない)お客様が続出します。
メールが来てから1か月後の予約しかとれないということもありますので、スケジューリングに余裕をもっておくことをお勧めします。
実はこれは在日スペイン大使館に限ったことではなく、スペイン本国で結婚をするときにも、民事登録所(Registro Civil)での面接予約が最大6週間先になることがあります。
なお、このメールで、領事面接に証人1名を同行する必要があるかいなかが伝えられます。
スペイン人人口25,000 人以上の市町村に居住していた場合に必要となります。
証人は両当事者をよく知る人で、両当事者に結婚意思があることを証言できる方である必要があるので、
カップルの共通の友人や日本人のご家族などがなることが多いです。
手順4:領事面接当日
(出向く人)
日本人とスペイン人のカップルと、求められた場合には証人1名と、予約した日時に在日スペイン大使館へ出向きます。
証人を含めた全員が、身分証明書の提示を求められます。外国人の方はパスポート、日本人の方はパスポートまたは運転免許証です。
(事前に在留届)
スペイン人が在日スペイン大使館に対して在留届を提出していないときは、少し早めに到着して在留届を行ないます。
【必要書類】
・申請書 ※大使館に備え付け
・パスポート及びD.N.I.
・顔写真(正面)1枚 (4×4cm)
(面接)
まずカップルが別々に面接をし、領事官から結婚の意思確認をされます。交際の経緯など、偽装婚でないことを確認するためのいくつかの簡単な質問がなされます。これはスペイン本国で結婚するときにも市民登録局で行なわれるプロセスです。
その後、カップルと証人がそれぞれ書面に署名して手続き完了です。
(婚姻要件具備証明書)
カップルと証人の署名が完了すると、「婚姻要件具備証明書」をその場で発行してもらえます。
婚姻要件具備証明書は1枚の紙に日本語とスペイン語で同じ内容が併記されているので、これを次のステップで市区町村役場に提出するときに日本語に翻訳する必要がありません。
Step2:日本の市区町村役場へ婚姻届を提出
日本の市区町村役場へ結婚届を提出し、結婚を成立させます。
【必要書類】
・婚姻届
・スペイン人の婚姻要件具備証明書
・スペイン人のパスポート
・日本人の本人確認書類
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚をする場合
・その他指示されたもの
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国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step3:スペイン側に、日本で成立した結婚を報告
日本で結婚を成立させたあと、在日スペイン大使館においてスペイン政府に結婚を報告します。
在日スペイン大使館へ出頭する必要はなく、郵送でします。
結婚が登録されると、結婚を証明する書類である「家族手帳(LIBRO DE FAMILIA)」が発行されます。
【必要書類】
・結婚済み届出用紙 (HOJA DE DECLARACION DE MATRIMONIO)
・結婚届受理証明書 1部+スペイン語
・入籍後の戸籍謄本 1部+スペイン語
Step4:日本の配偶者ビザを申請する
日本での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
スペイン人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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日本人とスペイン人がスペイン先行で結婚をする場合の手続きは、4ステップで完了します。
日本で結婚生活を送る場合はStep5に進みましょう。
Step1:日本人が、日本外務省で戸籍謄本・住民票にアポスティーユを取得する
スペインでの提出書類として日本で取得する「戸籍謄本」と「住民票」を求められたときは、スペインに送付する前に、アポスティーユを取得します。
日本の市区町村役場が発行した戸籍謄本や住民票が本物であるかスペインの役所は判別できないため、日本外務省のお墨付き(アポスティーユ)を取得します。
Step2:在スペイン日本大使館で、各種書面を取得する
日本人が、在スペイン日本国大使館で、結婚に必要な書面を取得します。
結婚に必要な書面は役所ごとに異なりますので、事前に確認してから行動しましょう。
【取得書面】
・婚姻要件具備証明書 ※Certificado de No Impedimento を求められたときに取得します。
・婚姻告知不要証明
※スペインに地域によっては結婚の事前告知をする必要がありますが、日本ではその必要がないことを証明する書類
Step3:スペインで結婚を成立させる
スペインの民事婚は、結婚許可証(Certificado de Capacidad Matrimonial)を申請するところからはじまります。
3.1 民事登録局(Registro Civil)へ書類を提出し、「結婚許可証」を申請する
バルセロナなど大都市ではRegistro Civilで、地方では市庁舎で結婚許可証の申請を行います。
この申請時に、カップルの関係をよく知る証人1名が同行する必要があります。
【必要書類】
・申請書
(スペイン人の書類)
・出生証明書
・独身証明書(Certificado de Estado Civil)
・過去2年間の住所を証明する書面(Padró Municipal d’Habitants )
・DNI(身分証明書)
(日本人の書類)
・戸籍謄本 ※日本外務省のアポスティーユ認証済み
・過去2年分の住所を証する住民票 ※日本外務省のアポスティーユ認証済み
・婚姻要件具備証明書 ※在スペイン日本大使館で取得
・婚姻告知不要証明書 ※在スペイン日本大使館で取得
3.2 21日の公示期間
結婚許可書の申請があると、民事登録局(Registro Civil)は結婚の公告を21日間おこないます。
公示期間内に異議を申し立てる者が現れないときには、次のステップに進めます。
3.3 面接を受ける
バルセロナでは10日が経過した時点で、民事登録局(Registro Civil)に電話して面接の予約を入れることができます。
面接の当日には結婚当事者2名が民事登録局に出向き、別室でインタビューを受けます。
出会いの経緯やどの時点でどちらから結婚を申し出たのかなどがヒアリングされます。
カップルに別室で同じことを尋ね、後に照らし合わせて同じことを言っているか確認されることもあるようです。
面接の終了後に、結婚式の日取りを設定します。
3.4 結婚式
婚姻日当日に当事者および証人が出頭して、結婚式を行ないます。結婚式は15分から30分程度で終わります。
結婚式が終わると、結婚登録がなされ、結婚証明書(Certificado Literal de Matrimonio)が発行されます。
Step4:日本に結婚を報告する
日本に帰国してから、または在スペイン日本国大使館で、スペインで結婚が成立したことを報告します。
【必要書類】
・婚姻届
・スペインの婚姻証明書 ※日本の市区町村役場で手続きするときは、スペイン外務省のアポスティーユ認証済みのもの
・結婚証明書の日本語訳
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚する場合
・日本人の本人確認書類
・スペイン人の出生証明書 ※日本の市区町村役場で手続きするときは、スペイン外務省のアポスティーユ認証済みのもの
・スペイン人の出生証明書の日本語訳
・スペイン人のパスポート
・その他指示されたもの
〇よく一緒に読まれている記事
国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step5:日本の配偶者ビザを申請する
両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
スペイン人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
〇よく一緒に読まれている記事
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。