スイス人との結婚手続き【徹底解説】

更新:2021年1月20日

行政書士 佐久間毅

スイス人との結婚手続きについて解説する行政書士

 

この記事では、スイス人と日本人との結婚手続きについて、

日本で先に結婚する方法と、スイスで先に結婚手続きを行なう方法にわけて、

東京のアルファサポート行政書士事務所がくわしく解説します!

 

なおスイス人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、

交際期間が短い、収入の継続性・安定性・額に問題があるケースです。

 

問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう。

 

配偶者ビザの条件の中には、国際結婚の完了後にはどうにもできない問題がいくつかあります(例えば交際期間など。)。

まだご結婚前であれば、交際期間などについて再考できるはずですので、関連記事「配偶者ビザの条件」などをよくご確認ください。

 

〇よく一緒に読まれている記事

 

配偶者ビザと年齢差

配偶者ビザと収入

配偶者ビザの条件 

配偶者ビザ

 

■ひとこと解説

>> 日本先行でスイス人と結婚をする場合は、市区町村役場に結婚届を提出します。

>> スイス先行でスイス人と結婚する場合は、まず日本人が在スイス日本大使館で各種書面をを取得します。

>> 日本先行で結婚しても、スイス先行で結婚をしても、最終的に両方の国で結婚を登録ことができます。

■くわしく解説

■1 スイスと日本、どちらの国で先に結婚しても大変さは同じなの?

いいえ、同じではありません。スイスではスイス法に基づいて、日本では日本法に基づいて結婚するためです。

したがって、カップルが置かれている様々な状況によって、どちらを選択すべきかが違ってきます。

以下を参考に決定しましょう。

 

■2 スイス人と【日本で先に】結婚をすることのメリット・デメリット

日本先行で、スイス人との結婚手続き

 

スイス人と日本で先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。

 

<メリット>

・お二人が日本に滞在している場合には便利な方法である

 

<デメリット>

・日本で成立した結婚もスイスに登録できるので大きなデメリットはありませんが、最終的にスイス側の結婚手続きがすべて完了(家族手帳の受領)するまでに時間がかかる

 

【解説】

 

日本に日本人とスイス人の結婚当事者おふたりがいらっしゃるときに、多く選択されている方法です。

スイスは結婚手続きに最も時間がかかる国のひとつなので、余裕を見て行動しましょう。

 

■3 スイス人と【スイスで先に】結婚することのメリット・デメリット

スイス先行で、スイス人との結婚手続き

 

スイス人とスイスで先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。

 

<メリット>

・おふたりがスイスに滞在しているときに便利な方法である

 

<デメリット>

結婚式を挙げないと法的な結婚が成立しない

 

【解説】

 

現在お二人がスイスにいらっしゃるのであれば、スイス先行の結婚が選択されるでしょう。

スイスは結婚手続きに最も時間がかかる国のひとつなので、余裕を見て行動しましょう。

 

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■4 スイス人と【日本先行】で結婚をする手続き

日本先行で、スイス人との結婚手続き

 

日本人とスイス人が日本先行で結婚をする場合の手続きは、5ステップで完了します。

日本で結婚生活を送る場合はStep6以降に進みましょう。

 

Step1:日本人が市区町村役場で、「戸籍謄本」「住民票」を取得する

 

日本人が、日本の市区町村役場で「戸籍謄本」と「住民票」を取得します。

 

戸籍謄本は2通取得し、このあと法務局で1通を、在日スイス大使館で1通を使います。本籍地と違う市区町村役場に結婚届を提出するときは日本の市区町村役場でさらにもう1通使うので、合計3通取得します。

 

Step2:日本人が法務局で、「婚姻要件具備証明書」を取得する

 

日本人が法務局で「婚姻要件具備証明書」を取得します。これはのちに在日スイス大使館へ提出します。

婚姻要件具備証明書とは、日本人が日本法に照らして結婚することができる状況にあることを日本政府が証明する書面です。

 

〇参照:東京法務局ホームページ

 

Step3:日本人が、日本外務省で「婚姻要件具備証明書」等にアポスティーユを取得する

  

戸籍謄本、住民票、婚姻要件具備証明書はつぎのStep5で在日スイス大使館へ提出することとなりますが、日本の行政組織が発行した戸籍謄本などが本物であるか在日スイス大使館は判別できないため、日本外務省のお墨付き(アポスティーユ)を取得します。

 

〇参照:日本外務省ホームページ

 

Step4:スイス人が、在日スイス大使館で「婚姻要件具備証明書」を申請する

 

日本国内に在住するスイス人は在日スイス大使館で、スイス在住のスイス人は居住地の戸籍役場で申請します。

 

以下では、国内在住の場合についてご説明します。

・在日スイス大使館で婚姻要件具備証明書を申請すると、書類が本国へ送付され、本国の役所が婚姻要件具備証明書を発行します。

・申請から婚姻要件具備証明書が申請者の手元に届くまでに2、3カ月かかります。

 

【必要書類】

 

在日スイス大使館で、 次の2つの書面を作成し提出します。

・婚姻要件具備証明書の申請書

・婚姻要件に関する宣誓書

 

●スイス人

 

1 パスポート

2 住民票 ※氏名にカタカナ表記が入ったもの

3 スイスの身分事項証明書(Personenstandsausweis/Certificat individuel d’état civil)

4 この他指示されたもの ※前婚がある場合の前婚が解消したことを証する書面など

 

●日本人

 

1 パスポート

2 戸籍謄本 ※アポスティーユ付き

3 婚姻要件具備証明書 ※アポスティーユ付き

4 住民票 ※アポスティーユ付き

5 この他指示されたもの ※前婚がある場合の前婚が解消したことを証する書面など

 

【申請後】

 

・在日スイス大使館で書類がチェックされた後、問題がなければ申請書と共にスイスの戸籍役場に郵送されます。

・スイスの戸籍役場は書類を確認した上で、婚姻要件具備証明書を発行します。

・スイスの戸籍役場が発行した婚姻要件具備証明書は在日スイス大使館へ郵送され、在日スイス大使館が翻訳・認証します。

 

Step3:日本の市区町村役場へ婚姻届を提出

 

日本の市区町村役場へ結婚届を提出し、結婚を成立させます。

 

【必要書類】

 

・婚姻届

・スイス人の婚姻要件具備証明書 ※在日スイス大使館で翻訳・認証されたもの

・スイス人のパスポート

・日本人の本人確認書類

・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚をする場合

・その他指示されたもの

 

〇よく一緒に読まれている記事

 

国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。

 

 ・国際結婚 婚姻届

 

Step4:日本人が、日本外務省で「婚姻届記載事項証明書」にアポスティーユを取得する

 

婚姻届記載事項証明書はつぎのStep5で在日フランス大使館へ提出することとなりますが、市区町村役場が発行した婚姻届記載事項証明書が本物であるか在日フランス大使館は判別できないため、日本外務省のお墨付き(アポスティーユ)を取得します。

 

氏の変更をした場合には、「氏の変更届記載事項証明書」にもアポスティーユを取得します。

 

〇参照:日本外務省ホームページ

 

Step5:スイス本国に、在日スイス大使館を経由して、日本で成立した結婚を報告

 

日本で結婚を成立させたあと、在日スイス大使館経由でスイス政府に結婚を報告します。

 

【必要書類】

 

・婚姻届受理証明書 1通 ※アポスティーユ付き 

・氏の変更届受理証明書 1通 ※氏の変更があったときのみ。アポスティーユ付き

 

 

在日スイス大使館で処理するわけではなく、スイス本国の戸籍役場へ書類を送って本国で処理するため、かなりの時間を要します。

 

Step6:スイスの「結婚証明書(Marriage Certificate)」を取得する

 

日本の配偶者ビザを取得するためには、日本とスイスの両国において結婚手続きが完了していることを証明する必要があります。

 

結婚証明書の申請は、オンライン上で行なうことができます。以下のリンクは、ジュネーブの場合です。

 

〇参照:スイス・ジュネーブ市ホームページ

 

Step7:日本の配偶者ビザを申請する

 

日本での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。

スイス人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。

 

〇よく一緒に読まれている記事

 

配偶者ビザと年齢差

配偶者ビザと収入

配偶者ビザの条件 

配偶者ビザ

 

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■5 スイス人と【スイス先行】で結婚する手続き

スイス先行で、スイス人との結婚手続き

Step1:日本人が、在スイス日本大使館で「婚姻届受理証明書」等を取得する

 

日本国内の法務局が発行する婚姻要件具備証明は、未婚、独身、既婚、離婚者等の身分が記載されないため、スイス官憲で受け付けてもらえません。このため、在スイス日本国大使館で取得することとなります。

 

日本人が、在スイス日本国大使館又は領事館で、つぎの書面を取得します。

結婚に必要な書面や処理方法(アポスティーユ取得が必要か否かなど)は役所ごとに異なりますので、事前に確認しましょう。

日本で取得した住民票に日本外務省のアポスティーユを付け、さらに認定翻訳を付けたものを要求されることもあります。

 

【在スイス日本国大使館での取得書面】

 

・出生証明書

・婚姻要件具備証明書

  

【取得に必要な書類】

 

・証明書発給申請書

・戸籍謄本 

・パスポート

・スイス滞在許可証

・その他指示されたもの 

  

ダウンロード
証明書発給申請書_在スイス日本国大使館
予告なく変更されますので、ご参考として提供しています。ご自身で最新版を入手してそちらをご使用ください。
証明書発給申請書_在スイス日本国大使館.pdf
PDFファイル 139.5 KB

Step2:スイスの市民登録事務所(Registry Office)に、結婚を申請する

 

・市民登録事務所において、結婚申請書とともに、他の必要書類を提出します。

・結婚に必要な法的要件をすべて満たしていること、および、提出書類が最新で完全かつ真実のものであることを、登録官の面前で宣誓します。

・結婚の申請が承認されるまでに最大5週間かかる可能性がありますので、余裕をもって申請しましょう。

・結婚の申請からこれが承認されるまでのあいだで、結婚の意思の公告が行なわれ、異議を申し立てる人がいないか確認されます。

・手続きが完了し結婚申請が承認されると、登録事務所は結婚式をいつまでに行う必要があるか法的期限を書面で当事者に通知します。

・承認から最短で10日、遅くとも3カ月内に結婚式を挙げることができます。

 

【必要書類】

・両名のパスポート原本など写真付き身分証明書

・日本人の婚姻要件具備証明書

・日本人の出生証明書

・日本人の住所証明書 ※アポスティーユ付き

・スイス人の居住証明書

・その他指示されたもの

 

Step3:スイスで結婚式をあげる

 

・結婚式は2人の証人の面前で、市役所の民事登録官によって行われます。教会などの宗教施設での結婚式は任意に行なうことができますが、民事婚の成立後のみに行なうことができます。

・結婚式は役所で行なうこともあり月曜日から金曜日まで平日に行なうのが原則で、要件を満たすと指定された土曜日に行なうこともできます。

・結婚式が終わると、夫婦は結婚式が行われた日時と場所などが記載された「結婚証明書」を取得できます。

・結婚証明書はオンラインで申請が可能で、3営業日以内に入手可能になります。費用は30スイスフランです。

 

〇参照:ジュネーブ市ホームページ

 

Step4:日本に結婚を報告する

 

日本に帰国してから、または在スイス日本国大使館で、スイスで結婚が成立したことを報告します。

 

【必要書類】

 

・婚姻届

・スイスの婚姻証明書

・婚姻証明書の日本語訳 

・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚する場合

・日本人の本人確認書類

・スイス人の出生証明書 

・スイス人の出生証明書の日本語訳

・スイス人のパスポート

・その他指示されたもの

 

〇よく一緒に読まれている記事

 

国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。

 

 ・国際結婚 婚姻届

 

 

Step5:日本の配偶者ビザを申請する

 

両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。

スイス人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。

 

〇よく一緒に読まれている記事

 

配偶者ビザと年齢差

配偶者ビザと収入

配偶者ビザの条件 

配偶者ビザ

 

 

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■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。


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