更新:2021年1月19日
行政書士 佐久間毅
この記事では、オランダ人と日本人との結婚手続きについて、
日本で先に結婚する方法と、オランダで先に結婚手続きを行なう方法にわけて、
東京のアルファサポート行政書士事務所がくわしく解説します!
なおオランダ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、
交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。
問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう。
配偶者ビザの条件の中には、国際結婚の完了後にはどうにもできない問題がいくつかあります(例えば交際期間など。)。
まだご結婚前であれば、交際期間などについて再考できるはずですので、関連記事「配偶者ビザの条件」などをよくご確認ください。
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>> 日本先行でオランダ人と結婚をする場合は、市区町村役場に結婚届を提出します。
>> オランダ先行でオランダ人と結婚する場合は、オランダの市役所で結婚の意思を宣言します。
>> 日本先行で結婚をしても、オランダ先行で結婚をしても、最終的に両方の国で結婚を登録することができます。
いいえ、同じではありません。オランダ先行の場合はオランダ法にもとづいて、日本先行の場合は日本法にもとづいて結婚するからです。
したがって、カップルが置かれている様々な状況によって、どちらを選択すべきかが違ってきます。
以下を参考に決定しましょう。
オランダ人と日本で先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・オランダ先行の結婚手続きよりも、制度としてシンプルである。
<デメリット>
・日本で成立した結婚はオランダ政府にも登録できるので、特にありません。
オランダ人とオランダで先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・日本先行の場合と比較したメリットは特にありませんが、カップルがオランダにいる場合にはこちらが選択されます
<デメリット>
・結婚式を挙げなければ結婚が成立しない
・予約した結婚式の日取りの少なくとも14日前に、市庁舎に結婚の意思(ondertrouw)を通知しなければならないなど、プロセスに時間がかかる
▼記事は下につづきます▼
日本人とオランダ人が日本先行で結婚をする場合の手続きは、5ステップで完了します。
日本で結婚生活を送る場合はStep6に進みましょう。
Step1:オランダ人が「婚姻要件具備証明書」を取得する
・オランダ人がオランダにお住まいであっても、日本国内でお住まいであっても、指定されたメールアドレスに必要書類のスキャン(pdf)を送信する方法により、「婚姻要件具備証明書」を取得することができます。ただし、必要書類が少しずつ異なっているため、オランダ政府のホームページで詳細を把握しましょう。オランダに住んでいる場合には「Certificate of legal capacity to marry」、日本にお住いの場合は「Declaration of marital status」として案内されています。
・発行された婚姻要件具備証明書は、あなたにメールで送られてきます。
【必要書類】
・オランダ人のパスポートなど国籍を証する書面
・オランダ人の住所証明書
・オランダ人の未婚宣言書(Declaration of unmarried status)
・前婚がある場合は、離婚証明書または死亡証明書
・その他指示されたもの
【費用】
指定されたアムステルダムの銀行の外務大臣名義の銀行口座に振り込みます。
・1枚につき30ユーロ
【申請方法】
・必要書類をスキャンしてPDFを指定されたメールアドレスに送信します。その際、メールに証明書が必要な理由を記載します。
【期間】
・平均で10営業日とされています。
Step2:オランダ人が「出生証明書(Geboorteakte)」を取得する
日本の市区町村役場から「出生証明書」を求められたときは、出生地の市役所でオンライン経由で取得できます。
【費用】
オンラインで申請後に、電子メールで請求書が送られてきます。
・1枚につき14ユーロ
【申請方法】
・必要書類をスキャンしてPDFを指定されたメールアドレスに送信します。その際、メールに証明書が必要な理由を記載します。
【期間】
・15営業日以内に郵便で発送されます。到着は郵便事情によります。
Step3:日本の市区町村役場へ「婚姻届」を提出
日本の市区町村役場へ結婚届を提出し、結婚を成立させます。
結婚が成立したら、オランダ政府に届け出る必要があるので、結婚後の「戸籍謄本」と「婚姻届受理証明書」を取得します。
【必要書類】
・婚姻届
・オランダ人の婚姻要件具備証明書と日本語訳
・オランダ人の出生証明書と日本語訳
・オランダ人のパスポート
・日本人の本人確認書類
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚をする場合
・その他指示されたもの
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国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step4:日本の結婚証明書に日本外務省のアポスティーユを取得する
日本の結婚証明書としてオランダ政府から要求された戸籍謄本や婚姻届受理証明書などについて、日本外務省で認証を受けます。
オランダ政府は、受け取った書類が本物であるかわからないため、日本外務省によるお墨付きをもらいます。
なお、提出の際には認定された翻訳が必要ですが、日本国内で翻訳を用意するときには、その翻訳についても認証が必要です。
Step5:日本で成立した結婚を、オランダ政府へ届け出る
日本で成立した結婚をオランダ政府に届け出る場合は、オランダ人がオランダ国内にお住いの場合と、オランダ国外にお住いの場合とで登録の方法が異なります。オランダにお住いの場合は、個人記録データベース(Basisregistratie Personen-BRP)に登録する必要があります。
以下では、オランダ人がオランダ国内に住んでいる場合の方法についてご説明します。
5.1 市役所の予約をとる
市役所に行くには予約が必要です。オンラインまたは電話で予約しましょう。
予約時に、結婚が個人記録データベース(Basisregistratie Personen-BRP)に登録されるまでの時間を教えてくれます。
5.2 市役所に書類を提出する
【必要書類】
・婚姻届受理証明書 ※認証済みのもの+認定翻訳(certified translation)
・戸籍謄本 ※認証済みのもの+認定翻訳(certified translation)
・オランダ人のパスポート
・日本人のパスポート
・外国で成立した結婚についての宣言書(Declaration foreign marriage)
Step6:日本の配偶者ビザを申請する
両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
オランダ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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概要
・オランダは、市民登録機関(ambtenaar van de burgerlijke stand)による民事婚のみを法的な結婚としてみとめています。
民事婚が完了すると、希望者は教会などで宗教的な結婚式をあげることができます。
・結婚が完了すると結婚手帳 (huwelijksboekje) が交付されますがこの手帳に法的な意味はないため、別途、結婚証明書を取得する必要があります。日本の市区町村役場にこの結婚証明書を提出するときには、地方裁判所(arrondissementsrechtbank)によるアポスティーユを取得する必要があります。
Step1:日本人が日本外務省で「戸籍謄本」にアポスティーユを取得する
・オランダ政府が要求することがあるため、日本で取得した日本人の戸籍謄本に日本外務省でアポスティーユを取得します。
・日本人に前婚があるときには、オランダ政府から離婚の事実を確認できる戸籍や死亡証明などを要求されることもありますので、必要書類は事前に問い合わせをして確定させておきます。これらの書面にもアポスティーユが必要です。
〇参照:日本外務省ホームページ
Step2:日本人が在オランダ日本大使館で「戸籍事項記載証明」を取得する
オランダ政府が日本人に要求する書面は市役所により異なりますので、事前に確認をします。
日本人の場合は、在オランダ日本大使館で発行する「身分事項に関する証明(戸籍事項記載証明)」の提出を求められることが多いです。
在オランダ日本大使館は、所要時間を1週間としていますので、余裕をもって請求しましょう。
【在オランダ大使館で戸籍事項記載証明のための必要書類】
・日本人のパスポート
・日本人の戸籍謄本 ※3カ月以内に発行されたできるだけ新しいもの
・オランダ人の氏名等を確認できる書類
・その他指示されたもの
Step3:オランダ外務省で認証(legalization)を取得する
オランダの市役所から要求されたときは、在オランダ日本大使館で取得した日本人の書類に、オランダ外務省から認証を取得します。
このステップを不要とする市役所もあります。
なお、オランダは地方裁判所でアポスティーユを付与していますが、このステップの認証はオランダ外務省によります。
【オランダ外務省認証デスク】
認証デスクは、営業日の09:00から12:30まで営業しています。事前に電話して、書類に認証を取得できるか確認します。電話番号は+31247 247247です。
11時30分までに提出すると、当日受け取り可能です。認証デスクは一般に公開されています。
〇参照:オランダ外務省ホームページ
Step4:市役所に結婚の意思(ondertrouw)を通知する
・結婚することになったら、まず市町村に通知する必要があります。これはondertrouwと呼ばれています。結婚の意思の通知は、オランダ人が居住する市町村(gemeente)の役所で行います。
・結婚の意思の通知は、結婚式の予定日の少なくとも2週間前に行なう必要があり、アムステルダムでは6週間前に行なう必要があります。
・結婚の意思の通知は1年間有効であるため、結婚式はondertrouwから1年以内に行ないます。1年間の期限が切れたときには、再度のondertrouwが必要です。
・結婚の意思の通知をしたら、市役所で結婚式の日程と場所を決めることになりますが、ondertrouwと同じ日にしても良いですし、あらためて別の日に予約の上で市役所を訪問して決定することもできます。
・結婚式の事前に証人を決める必要があります。少なくとも2名、証人の最大人数は4名です。証人は18歳以上である必要がありますが、オランダ人である必要はなく、オランダの居住者である必要もありません。
【結婚の意思の通知に必要な書類】
・当事者の身元証明書
・証人の身元証明書 ※婚姻の意思の通知の日に間に合わない場合は、後日提出することが可能です。
・婚姻の意思の通知書
・その他指示されたもの
Step5:結婚式を挙げる
・一部の地域では、オランダ語ではなく英語で結婚式をあげるオプションを選択できますが、結婚の誓いはオランダ語で行なうことが法律で義務付けられています。
・結婚当事者または証人のうちの誰かがオランダ語が流ちょうでないときは、結婚式に通訳をつける必要があります。通訳は政府に認定された通訳者である必要はありませんが、通訳として有能である必要があります。
・通常の結婚式は無料ですが、市役所が定めている曜日・時間帯に行なわれます。音楽の演出は無く、ゲストも少ない分、セレモニーは数分(最大10分)で終わります。有料のオプションを選択すれば、時間は最大1時間に延長することができ、セレモニーもカスタマイズできます。
・結婚が完了すると結婚手帳 (huwelijksboekje) が交付されますがこの手帳に法的な意味はないため、別途、結婚証明書を取得する必要があります。日本の市区町村役場にこの結婚証明書を提出するときには、地方裁判所(arrondissementsrechtbank)によるアポスティーユを取得する必要があります。
Step6:オランダ人が「出生証明書(Geboorteakte)」を取得する
日本の市区町村役場から「出生証明書」を求められたときは、出生地の市役所でオンライン経由で取得できます。
【費用】
オンラインで申請後に、電子メールで請求書が送られてきます。
・1枚につき14ユーロ
【申請方法】
・必要書類をスキャンしてPDFを指定されたメールアドレスに送信します。その際、メールに証明書が必要な理由を記載します。
【期間】
・15営業日以内に郵便で発送されます。到着は郵便事情によります。
Step7:日本に結婚を報告する
今後、日本で生活をする場合には、日本に帰国してから、オランダで結婚が成立したことを報告するために市区町村役場に結婚届を提出します。または在オランダ日本国大使館でも可能ですが、この場合は日本の戸籍に結婚の事実が反映されるまでに時間がかかります。
【必要書類】
・婚姻届
・結婚証明書とその日本語訳
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚する場合
・日本人の本人確認書類
・オランダ人の出生証明書
・オランダ人のパスポート
・その他指示されたもの
〇よく一緒に読まれている記事
国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step8:日本の配偶者ビザを申請する
両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
オランダ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。