イギリス人との結婚手続き【徹底解説】

更新:2021年2月24日

行政書士 佐久間毅

イギリス人との結婚手続きについて解説する行政書士

この記事では、イギリス人と日本人との結婚手続きについて、

日本で先に結婚する方法と、イギリスで先に結婚手続きを行なう方法にわけて、

東京のアルファサポート行政書士事務所がくわしく解説します!

 

なおイギリス人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、

交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。

 

問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう。

 

配偶者ビザの条件の中には、国際結婚の完了後にはどうにもできない問題がいくつかあります(例えば交際期間など。)。

まだご結婚前であれば、交際期間などについて再考できるはずですので、関連記事「配偶者ビザの条件」などをよくご確認ください。

 

〇よく一緒に読まれている記事

 

配偶者ビザと年齢差

配偶者ビザと収入

配偶者ビザの条件 

配偶者ビザ

 

■ひとこと解説

>> 日本先行でイギリス人と結婚をする場合は、市区町村役場に結婚届を提出します。

>> イギリス先行でイギリス人と結婚する場合は、日本人が結婚訪問ビザ(Marriage visitor visa)を取得します。

>> イギリス先行で結婚をした場合は両方の国で結婚を届け出ることができます。

■くわしく解説

■1 イギリスと日本、どちらの国で先に結婚しても大変さは同じなの?

いいえ、同じではありません。したがって、カップルが置かれている様々な状況によって、どちらを選択すべきかが違ってきます。

以下を参考に決定しましょう。

 

■2 イギリス人と【日本で先に】結婚をすることのメリット・デメリット

日本先行で、イギリス人との結婚手続き

 

イギリス人と日本で先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。

 

<メリット>

・結婚手続きがイギリス先行の場合よりもシンプルで簡単である

 

<デメリット>

・日本で成立した結婚はイギリス国内でも有効な結婚として認められることの裏返しとして、イギリス政府から結婚証明書を取得できない

 

【解説】

 

日本先行でイギリス人と結婚する方法は、イギリスで結婚するよりもはるかにシンプルなので、多くの方がこの方法で結婚されています。

しかしながら、今後イギリスで暮らしていくという場合には、イギリス政府発行の結婚証明書を取得することができるイギリス先行で結婚することにも大きなメリットがあります。

 

結論としては、今後、日本で結婚生活をおくることを計画し、当面はイギリスで生活する予定がない場合は、日本先行でよいでしょう。

 

イギリス政府発行の結婚証明書を取得することができないと不安に思う方も多いでしょうが、実は、そちらのほうが国際的にはスタンダードと言えます。

アメリカ、中国、ロシアといった大国も、イギリスと同じ制度なので、日本の結婚を先行させた場合にお相手の政府から結婚証明書を取得することができないことはそれほど珍しいことではありません。

他方で、日本先行で結婚をしてもお相手の国からきちんと結婚証明書を取得することができる国としては、ヨーロッパの大陸法系の国や、韓国、台湾、フィリピンなどです。

 

■3 イギリス人と【イギリスで先に】結婚することのメリット・デメリット

イギリス先行で、イギリス人との結婚手続き

 

イギリス人とイギリスで先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。

 

<メリット>

・イギリス政府から「結婚証明書」を取得することができる

 

<デメリット>

・イギリス先行で結婚手続きを行なうと、日本先行で行なうよりも複雑で時間もかかる

・イギリスに結婚当事者2名がそろわないと結婚することができない(対して、日本は1人でも結婚できる)

・イギリスは、結婚手続きの段階から入国管理局が関与し、偽装婚などのチェックを行っており厳しい

 

【解説】

 

まず、日本先行で結婚手続きを行なうと、将来、イギリス政府発行の「結婚証明書」を取得することができなくなります。

なぜならイギリスという国は、外国で成立した結婚を特別な手続きをすることなくそのまま自国の結婚として認める国なので、日本で成立した結婚をイギリス政府に登録する手段が用意されていないからです。

 

したがって、今後日本ではなくイギリスで結婚生活を送るという場合には、イギリス政府から結婚証明書が発行されるイギリス先行の方がなにかと便利といえます。

 

いっぽう、イギリス先行の結婚手続きはイギリスの法制度にのっとって行われるため、日本よりも複雑で時間もかかります。

日本は戸籍制度があるため、お相手が結婚できる状態にあるのか瞬時に分かりますが、イギリスは戸籍制度が無いため、結婚をする前に28日間の公示をしなければなりません。

 

 

また、結婚手続きそのものも、「婚姻届」という書類を市区町村役場に提出すれば成立する日本の結婚手続きに比較して、イギリスの場合は結婚当事者が教会(宗教婚)や役所(民事婚)で結婚式を挙げないと結婚が成立しません。

 

結論としては、今後、イギリスでながく結婚生活を送る予定のあるかたは、イギリス先行で結婚されると良いでしょう。

 

▼記事は下につづきます▼

 

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■4 イギリス人と【日本先行】で結婚をする手続き

日本先行で、イギリス人との結婚手続き

 

日本人とイギリス人が日本先行で結婚をする場合の手続きは、わずか2ステップで完了します。

日本で結婚生活を送る場合はStep3に進みましょう。

 

Step1:イギリス人が、在日イギリス大使館で婚姻要件具備証明書(Affidavitなど)を取得

 

あらかじめ予約を取った上で、在日イギリス大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得します。

これは、イギリス人がイギリスの法に則って結婚できる状況にあることを証明する書類です(といっても、ご本人が宣誓するだけですが)。

 

1.1 Affirmation(確約書) または Affidavit(宣誓書) を作成する

 

Affidavitは宗教色のある宣誓で、Affirmationには宗教色がありません。どちらを選択してもOKです。

 

1.2  イギリス大使館の予約をとる

 

訪問前に予約を取ります。

 

〇在日イギリス大使館

 ・予約フォーム

 

1.3  イギリス大使館を訪問

 

領事職員の面前で署名する必要がありますので、予約した日時に、在日イギリス大使館を訪問します。

 

【必要書類】

・イギリスのパスポート原本

・運転免許証など住所を証明する公的な書面

・その他、離婚歴や氏名変更歴などがあるときはこれに応じた書面

・出生証明書 

  ※出生証明書の取得はこちら

 

ダウンロード
在日イギリス大使館作成_婚姻要件確約書
予告なく変更されますので、ご参考として提供しています。かならず最新版をイギリス大使館で入手しそちらを使用してください。
婚姻要件確約書(Affirmation).PDF
PDFファイル 1.1 MB
ダウンロード
在日イギリス大使館作成_婚姻要件宣誓書
予告なく変更されますので、ご参考として提供しています。かならず最新版をイギリス大使館で入手しそちらを使用してください。
婚姻要件宣誓書(Affidavit)_駐日イギリス大使館.PDF
PDFファイル 1.1 MB

 

Step2:日本の市区町村役場へ婚姻届を提出

 

日本の市区町村役場へ結婚届を提出し、結婚を成立させます。

 

<必要書類>

・婚姻届

・婚姻要件具備証明書(AffidavitまたはAffirmation)と日本語訳

・イギリス人のパスポート

・日本人の本人確認書類

・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚をする場合

 

〇よく一緒に読まれている記事

 

国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。

 

 ・国際結婚 婚姻届

 

 

Step3:日本の配偶者ビザを申請する

 

日本での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。

イギリス人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。

 

〇よく一緒に読まれている記事

 

配偶者ビザと年齢差

配偶者ビザと収入

配偶者ビザの条件 

配偶者ビザ

イギリス人による配偶者ビザ申請

 

 

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■5 イギリス人と【イギリス先行】で結婚する手続き

イギリス先行で、イギリス人との結婚手続き

 

Step1:日本人が結婚訪問ビザ(Marriage Visitor Visa)を取得する

 

日本人がイギリスに渡航してイギリス人と結婚する際に求められるのが結婚訪問ビザです。

 

単なる観光ビザなど別の目的のビザで入国すると、イギリス入国後、結婚手続きが前に進まないだけでなく、結婚を担当する役所(regiter office)からイギリスの入管に通報されるルールになっており、その後のビザプロセスがうまくいかなくなる恐れがあります。

結婚訪問ビザでイギリスに滞在できる期間は6か月なので、許可されてしまえば時間的余裕はあるといえます。

 

この他、結婚後にイギリスで結婚生活を送る予定の場合は、家族ビザ(Family Visa)を申請することもできます。

取得すべき適切なビザについては、在イギリス日本大使館でよく相談しましょう。

 

 

Step2:日本人が「婚姻要件具備証明書」を取得する

 

 

在イギリス日本大使館または日本の法務局で、日本人が日本法に照らして結婚することができる状況にあることの証明書を取得します。

 

なお、在イギリス日本大使館で婚姻要件具備証明書を取得することができる日本人は、大使館に対して「在留届」を提出した方に限られます。

 

ダウンロード
婚姻要件具備証明書申請書
予告なく変更されますので、ご参考として提供しています。かならず最新版を入手してそちらをご使用ください。
婚姻要件具備証明書申請書_在英日本大使館.pdf
PDFファイル 83.6 KB

 

Step3:結婚の予告通知(give notice)をする

 

イギリスでは、結婚式の前に少なくとも28日間公示期間が設けられています。結婚の公示とは、「私たちはこれから結婚しようと考えていますが、これに異議を申し述べたい人がいたら申し出てください」ということを世間に対して公表する手続きです。

 

イギリス政府は、外国で成立したイギリス人の結婚を把握していないなど、イギリス人の結婚状況を厳格に管理してはいません。このため、世間一般に結婚について異議がないか確認する手続きが必要となります。

 

この結婚予告通知を行なう役所(register office)で、日本人のパスポートが確認され、適切なビザを所持していなければイギリス内務省・入国管理局に通報されるルールになっており、偽装婚でないかなどの調査が開始されることがあります。

 

【必要書類】

・結婚式の会場の詳細

・氏名の証明書 ※パスポートなど

・年齢の証明書 ※パスポートや出生証明書など

・国籍の証明書 ※パスポートなど

・住所の証明書 ※運転免許証など

・日本人のビザ ※適切なビザであるかの確認

・その他指示されたもの ※たとえば、前婚配偶者と死別したときの死亡証明書など

 

 

Step4:結婚式をあげる

 

結婚通知を行なってから12カ月以内に結婚式を挙げる必要があります。日本人のビザの期限にも注意しましょう。

結婚式を挙げないと結婚は成立しません。

 

イギリスでは、役所での結婚式(いわゆる民事婚)と宗教的な結婚式(教会などで行なう宗教婚)を別途行う必要はありません。

必要なのはどちらか1つの方法で挙式することです。

 

民事婚の場合は、結婚式にかかる時間は15分程度です。式では結婚当事者が結婚を誓約し、結婚当事者と結婚登録官、2人以上の証人が署名します。結婚登録官が証人を兼ねることはできません。

 

結婚が完了したら、結婚証明書(MARRIAGE CERTIFICATE)を入手してください。日本への報告に使います。

 

※結婚証明書の取得はこちら

 

Step5:日本に結婚を報告する

 

今後、日本で生活をする場合には、日本に帰国してから、イギリスで結婚が成立したことを報告するために市区町村役場に結婚届を提出します。

 

<必要書類>

・婚姻届

・結婚証明書とその日本語訳

・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚する場合

・日本人の本人確認書類

・イギリス人の出生証明書

     ※出生証明書の取得はこちら

・イギリス人のパスポート

・その他指示されたもの

 

〇よく一緒に読まれている記事

 

国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。

 

 ・国際結婚 婚姻届

 

Step6:日本の配偶者ビザを申請する

 

両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。

イギリス人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。

 

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■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。


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