更新日時:2020年8月31日
行政書士 佐久間毅
日本人と外国人の出会いのパターンで、就労ビザで日本に滞在している外国人に出会われた場合は、
配偶者ビザの申請において有利な点と不利な点をかかえています。
まず有利な点は、これらの方は就労ビザを取得することができるだけのスキルをお持ちですから、偽装婚をしなければ日本に滞在して仕事を続けることができない人とは状況が大きく異なっています。
※ただし、有期雇用の場合は期限付きの雇用なので注意を要します。
また就労ビザは一定の収入がないと維持できないので、お相手の外国人は、収入面で問題があるケースも少ないです。
※ただし、お一人が暮らしていくのにやっとの収入の場合は、問題になります。
いっぽう不利な点は、これまでの在留状況(日本の法令順守の状況)が問われることです。転職した事実を14日以内に入管に届け出ていなかったり、引っ越しをしたのに住民票を移さなかったりしているとこれらは入管法違反なので在留不良となり、ビザ変更に必要な「素行の善良性」の立証が困難になります。
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①就労ビザで滞在しているのに、働いていない
②会社で働くことを前提に取得したビザなのに、フリーランス・個人事業主をしている(資格外活動罪のおそれ)
③法律で許されていないアルバイトをしている(資格外活動罪のおそれ)
④退職や転職をしたことを、14日以内に届け出ていない(届出義務違反)
⑤引っ越ししたのに、14日以内に届け出ていない(届出義務違反)
⑥許された仕事以外の仕事をしている(偽装就労)
⑦就労ビザと聞いていたが、実際には難民申請中だった
この他、出会いのパターンに関係のない共通のリスク(年齢差・離婚歴・収入の額と継続性など)にご注意ください。
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基本的にあまり問題のない出会い方なのですが、就労ビザなのに「働いていない」となると、事情はガラッと変わってきます。
就労ビザは働くために滞在が許されているのですから、働いていないと何のためにビザを与えているのかがわからず、長期のあいだ働いていない場合は、在留資格が取り消されてしまう恐れすらあります。
このような場合は、入管はお相手を「在留不良」者として扱いますので、配偶者ビザの申請には慎重さが求められます。
ただ一口に働いていないといっても、その理由はさまざまです。心の病にかかってしまったのかもしれませんし、ただ単に怠けているのかもしれませんし、会社が倒産してしまったのかもしれませんし、解雇されてしまったのかもしれません。
働いていないことについて合理的な理由がある場合には、専門家の手助けを得ながら、置かれている状況をわかってもらうための真摯な努力をしましょう。
就労ビザをお持ちの方は、本業以外にアルバイトをすることが合法な場合と違法な場合がありますのでご注意ください。合法な場合とは、本業と同じ仕事を別の会社でもアルバイトとして行う場合です。
たとえば、英会話学校A社の英語教師としての仕事が本業で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をお持ちの方が、週末の土曜日だけB社で同じく英会話講師をする場合です。この場合は、同じ仕事なので資格外活動ではありませんから、
資格外活動許可を受けることなく合法的にアルバイトができます。
次の合法的なアルバイトのパターンは、入管から資格外活動許可をもらってしているアルバイトです。たとえば、前述の英会話講師の外国人が、週末に友人のスペイン料理店で調理補助のアルバイトをすることは資格外活動ですから、原則的には違法です。
しかしながら、スペイン料理店でのアルバイトを入管に申告し入管の許可(資格外活動許可)をもらっているのであれば、合法となります(ただし許可を得るのはそれほど簡単ではありません。)。
就労ビザをお持ちのかたが、就労ビザを取得した会社を退職した場合には、退職日から14日以内に入国管理局にその旨を届け出る必要があります。
また、退職した後、再就職をした場合も同様です。この14日以内の届出義務は、入管法という法律に書かれている義務ですので、この届出をまったくしていなかったり、していても14日を超えてしているような場合は法律違反となり、配偶者ビザ申請のさいに適切な配慮が必要です。
上述の②は、許されている本業のほかに「副業として」アルバイトをしているケースでしたが、④は、許されていない仕事を「本業として」しまっているケースです。これを偽装就労と言います。
たとえば、エンジニアや通訳として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を申請し許可されたかたが、実際にはエンジニアや通訳としての仕事をせず、工場に派遣されてお弁当を作っていたり、建設現場で現場仕事をしているようなケースです。
この場合は、疑いのない完全な在留不良者ですので、配偶者ビザへの変更申請をするのではなく、一度帰国して呼び寄せるなど、専門家に相談して適切に対処しましょう。
これもたまに遭遇するケースです。結婚相手は自分が就労ビザで働いていると言っていて、実際に仕事をしているので、日本人はてっきり就労ビザだと思っていたが、
実際は難民申請中の特定活動ビザで、就労が許可されているにすぎなかったというケースです。
入管は、1つだけのマイナス要因はそれを適切にカバーし、かつ、他には何らの不許可要因がないことを徹底的に立証することで大目に見てくれることもゼロではありません(致命的なものを除く。)が、2つ以上のマイナス要因を同時にかかえていると、問答無用で不許可にすることが多いので注意しましょう。入管の立場になると、マイナス要因をいくつも抱えている人は、不許可の判断を下しやすいということになります。
そのためには、配偶者ビザの条件をきちんと把握することがスタート地点になります。
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したがって、配偶者ビザのマイナス要因を自覚している人は、重箱の隅をつつかれても耐えられる書面を作成していく必要がありますから、みんビザがお勧めする行政書士に相談しましょう。
アメリカや欧州の方には移民法弁護士(immigration lawyer)といって、ビザの取得を弁護士に依頼することはごく当たり前の行為として定着しているのですが、アジア諸国などではまだ自力で徒手空拳でビザ申請をやりがちですから、日本人の方がきちんとフォローしてあげましょう。日本ではビザ申請は弁護士ではなく行政書士の仕事となっています。>>こちら
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行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。