日本人の実子はビザ/在留資格を取得して日本で暮らすことはできるの?【徹底解説】

更新:2020年7月10日

行政書士 佐久間毅

日本人の実子ビザ

■ひとこと解説

>> 日本人の実子は、日本人の配偶者等ビザで来日できる可能性があります。

>> 日本人の実子ビザは、外国に帰化した成人のかたと、何らかの事情で日本国籍を取得しなかった未成年者のビザ取得を数多くサポートしています。

■くわしく解説

日本人の実子のビザについて解説する行政書士

日本人の実子であっても日本国籍をお持ちでない方はかなりの数いらっしゃいます。

これらの方々は外国人ですが、日本人の実子であるため日本との結びつきが強く、日本に中長期的に滞在することを希望される方が多くいらっしゃいます。

 

この記事では、日本人の実子ビザを日本有数のレベルでお手伝いしている東京・六本木のアルファサポート行政書士事務所が、

日本人の実子のかたが取得する必要のある在留資格「日本人の配偶者等」についてわかりやすく解説します!

 

 

■1 日本人の実子が取得できる在留資格はなに?

実は日本人の実子である方に用意された在留資格は1つではなく在留資格「日本人の配偶者等」の対象のかたと、在留資格「定住者」の対象の方にわかれます。日本人の実子となった事情が、人により異なるからです。

 

この記事では前者の在留資格「日本人の配偶者等」に該当する日本人の実子ついて解説します。

詳細は■2で解説しますが、かんたんにいうと、外国に帰化した方と、外国で日本人と外国人のあいだに生まれた子です。

 

日本人の実子が在留資格「日本人の配偶者等」を取得できる可能性があるのは、「日本人の配偶者等」の「」のなかに、日本人の実子が含まれているからです。ほかに「等」のなかには「日本人の特別養子」が含まれています。

 

 

なお後者の定住者ビザ対象のかたは、帰化により日本人となった方の帰化前に生まれた実子です。こちらにつきましては、定住者ビザの記事をご確認ください。

 

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定住者ビザ

 

 

■2 日本人の実子の2類型

弊社が多くお手伝いさせていただいている「日本人の実子」の類型は次の2つです。

 

1つ目は、かつて日本人であったが他国に帰化したため今は日本人ではない方です。この方は今は外国人ですが日本人夫婦のあいだに生まれた「日本人の実子」ですのでこれに該当します。

弊社でこちらのビザ取得をお手伝いする場合は圧倒的に成人の方が多いです。

 

2つ目は、外国において日本人と外国人の間に生まれた子で、何らかの制度的な事情(例えば出生当初、両親が結婚していなかった等々)により、日本国籍を取得しなかったお子様です。

弊社でこちらのビザ取得をお手伝いする場合は圧倒的に未成年のかたが多いです。

 

それぞれ成人が多いパターンと未成年が多く見られるパターンとに分かれるのですが、いずれも日本人の実子であることに変わりはなく、成年だから有利・不利といったことはありません。

中には外国に帰化した直後に状況が一変し(国際状況の変化や日本在住の親の介護が必要となるなどご事情は様々です。)、外国人として日本に戻ってこられることもあります。

 

また外国で生まれた子で、出生時に日本国籍のほか外国の国籍もある(いわゆる二重国籍)場合、出生後3か月以内に日本国籍を留保する意思を表示して出生届をしなければ、出生時にさかのぼって日本国籍が失われます。二重国籍の子の出生届は3か月を過ぎた後は受理されず、日本国籍もなくなります。

 

また婚姻していない父母の子の出生届の届出人である親権者は母のみです。この場合に母が外国人の場合、日本人父が出生前に「胎児認知」を行っていなければ出生届をすることができません。

 

このような事情から、弊社のお客様のなかにも、日本人の実子ではあるが日本国籍をお持ちでないお子様が一定数いらっしゃいます。

これらのお子様は現時点では日本国籍を有しない外国人ですので、配偶者と同じくビザを取得してから来日することとなります。

 

■3 同じ在留資格「日本人の配偶者等」を取得する場合でも、親子は必要書類が異なります。

上記2つ目のパターンの場合は、これまで海外で暮らしてきた日本人と結婚した外国人配偶者とその子が一緒に来日を希望するケースをよくお手伝いします。

 

この場合は親子ともに同じ在留資格「日本人の配偶者等」を申請しますが、配偶者と子では申請書類が異なりますのでご注意ください。

また当然のことながら親子では別々の審査基準が設けられていますので、どちらか一方の在留資格が認められれば他方も自動的に来日が認められるわけではありません。

 

日本人の実子を招へいするための申請で必要とされるデフォルトの書類は次のとおりです(2020年7月現在)。

この他、状況に応じ添付します。

たとえば、外国人である日本人の実子が日本で暮らす必要があることについての疎明資料などです。

 

実子ビザの必要書類1:在留資格認定証明書交付申請書 1通

 

実子ビザの必要書類2:写真(縦4cm×横3cm) 1葉

※ 申請前3か月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの。

 

実子ビザの必要書類3:申請人の親の戸籍謄本又は除籍謄本(全部事項証明書) 1通

※ 発行日から3か月以内のものを提出して下さい。

 

実子ビザの必要書類4:日本で出生した場合は次のいずれかの文書 1通

(1) 出生届受理証明書

(2) 認知届受理証明書

※ 発行日から3か月以内のものを提出して下さい。

※ 上記(2)については、日本の役所に届出をしている場合にのみ提出していただきます。

 

実子ビザの必要書類5:海外で出生した場合は次のいずれかの文書 1通

(1) 出生国の機関から発行された出生証明書

(2) 出生国の機関から発行された申請人の認知に係る証明書(認知に係る証明書がある方のみ)

 

実子ビザの必要書類6:日本で申請人を扶養する方(複数の方が扶養する場合は収入の多い方)の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書

※ 発行日から3か月以内のものを提出して下さい。

 

実子ビザの必要書類7:身元保証書 1通

※ 身元保証人には,日本に居住する日本人(子の親)等になっていただきます。

 

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。


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