更新日時:2021年2月23日
行政書士 佐久間毅
>> 在留期間更新許可申請書とは、在留資格「日本人の配偶者等」を保有して日本に滞在している外国人が、入国管理局(正式名称、出入国在留管理局)に対して、配偶者としての活動の継続を理由として、在留資格「日本人の配偶者等」の更新を求めて申請する際に必要な書面です。
>> 在留期間更新許可申請書を入国管理局に提出し許可されると、在留資格「日本人の配偶者等」の新しい在留カードが発行されます。
>> 在留期間更新許可申請では、前回の申請時の懸念点がその後どうなったか、新たな懸念点が生まれていないかの2点を中心に審査されます。
状況が悪化していれば、不許可になったり、在留期間が1年から6か月に減らされることもあります。
>> 在留資格更新許可申請と呼ぶこともありますが、更新するのは在留期間なので、正しい名称は「在留“期間”更新許可申請」です。
この記事をご覧になっているあなたの配偶者は、在留期限が1年である可能性が高いです。なぜなら在留期限が3年のかたは、次のビザ更新が来る前に、永住権申請にチャレンジされるケースが大半だからです。
1年前に配偶者ビザが許可されたことは本当に喜ばしいことですが、在留期限が1年であるということは、1年後に状況をチェックしなければならない人物であると入管に判断されていることを意味します。すなわち、3年、5年のあいだ放置しておいてもらえるだけの信用を勝ち取っていませんから、まだまだ油断はできません。
特に前回の配偶者ビザを行政書士に依頼して勝ち取ったかたは、必ず今回の在留期間更新についても同じ行政書士に相談してください。行政書士はさまざまな問題をかかえている案件について、判例を引用するなどして論理の力で入管の外堀を埋め、結果としてぎりぎりのところで許可を勝ち取っていることが多いものです。年歳差が大きい方、収入が少ない方、交際期間が短かった方など喉元過ぎれば熱さを忘れるではありませんが、油断をすれば元も子もなくなります。
配偶者ビザの更新は、自動車運転免許証の更新とはまったく異なる真剣勝負です。
更新申請においては在留期限を増やすことにばかり目が行きがちですが、更新申請では在留期限が6か月に減らされたり、不許可になる人もいて、不許可となれば母国へ帰国することになるのですから、攻めることばかりでなく、防御にもぬかりなく気を配ってください。
留学ビザの更新が許されず学校を中退して帰国を余儀なくされる留学生と同じく、配偶者ビザの更新が許可されずに帰国される方は毎年一定数おられ、ご自分で申請して不許可となり真っ青な顔で弊所に飛び込んでくるかたは少なくありません。
初回の配偶者ビザ申請のさい、どこがネックだったのかを思い出しましょう。そこがクリアされているかが今次申請で問われます。
配偶者ビザが許可されたのちに転職や廃業などで収入が減ったかた、お相手に収入がないのに扶養にいれておらず、公的書面で「控除対象配偶者 無」になっている方、お仕事の事情で「通い婚」をしているかたなど、更新ならではのチェックポイントは沢山あります。
1年の在留期限の方は、まだ入管から1年分の信頼しか勝ち得ていないことを肝に銘じ、手抜きをすることなく、まずは3年分の信頼を勝ち取りましょう!
▼記事は下につづきます▼
【5年】が許可されたお客様
【2020年】配偶者ビザ更新で5年が許可されたアルファサポートのアメリカ人のお客様
【3年】が許可されたお客様
【2020年】配偶者ビザ更新で3年が許可されたアルファサポートのインドネシア人のお客様
【1年】が許可されたお客様
【2020年】配偶者ビザ更新で1年が許可されたアルファサポートのフィリピン人のお客様
【1年】が許可されたお客様
【2020年】配偶者ビザ更新で1年が許可されたアルファサポートのベトナム人のお客様
配偶者ビザで日本に滞在している外国人本人、申請代行を依頼された行政書士が申請可能です。
更新する外国人が日本の領土内にいることが前提の申請なので、結婚当事者である日本人は申請することができません。
入国管理局が配偶者ビザの更新を許可すると、新しい在留カードが発行されます。
在留期間更新許可申請書の書き方【0】:証明写真
外国人ご自身の顔写真を貼ります。
この写真は、許可された場合に新しい「在留カード」の顔写真として使用されるため、IDクオリティ(身分証明書の写真として適切)でなければ受付されません。
スマートフォンなどで撮影すると、背後に影ができたり、全体に対する顔のバランスが小さすぎたり大きすぎたり、鮮明でなかったりするので、写真館や街中に設置されている写真撮影機ボックスなどで撮影しましょう。
在留期間更新許可申請書の書き方【1】:国籍・地域
現在の在留カードの国籍・地域を参考に記入しましょう。
通常は、アメリカ、中国、ベトナムのように国籍のみを記載します。地域とは、台湾のような国ではないが独立した地域のことを指します。なお香港の場合は、「中国・香港」で良いです。
在留期間更新許可申請書の書き方【2】:生年月日
外国人ご自身の生年月日を、西暦で記載します。
在留期間更新許可申請書の書き方【3】:氏名
外国人の氏名を在留カードと同じ表記で、英字アルファベットで記載します。
中国人・韓国人・台湾人など漢字表記の名前がある場合は、英字アルファベットの氏名の隣に、それも併記します。
在留期間更新許可申請書の書き方【4】:性別
どちらかに〇をつけます。
在留期間更新許可申請書の書き方【5】:出生地
ほとんどの国のパスポートには「出生地」の記載がありますので、それを記載します。
なかには日本のように、パスポートに出生地の記載がない国もありますので、その場合は出生証明書の記載等を確認します。
配偶者ビザをはじめて取得した申請で入管に提出した「結婚証明書」などに記載がある国もありますので、矛盾が生じていないか確認しましょう。
在留期間更新許可申請書の書き方【6】:配偶者の有無
配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の申請ですから、「有」に〇をします。
在留期間更新許可申請書の書き方【7】:職業
外国人の申請日現在の職業を記載します。
在留資格「日本人の配偶者等」をお持ちの方は、職種に制限なく、また、仕事をする時間にも制限はありません。
したがって基本的にありのままを書けば問題ないはずなのですが、社会保険などの加入状況や扶養控除などとリンクしますし、
その一部は更新の必要書類の1つである「課税証明書」などにも反映され、将来「永住」を申請するときに関係してきますので、矛盾がないようにします。
働いているのに無職としたり、無職なのに働いていると記載すると、他の書面との整合性がとれなくなります。
在留期間更新許可申請書の書き方【8】:本国における居住地
お相手の外国人の本国での居住地を市区町村レベルで記載します。
在留期間更新許可申請書の書き方【9】:住居地
在留カードの記載どおりに夫婦が同居している住所、電話番号、ご本人の携帯電話番号を記載します。固定電話番号が無ければ、空欄にするのではなく「なし」と記入します。
在留カードと異なる住居地を申請書に記載することはありませんので、もし在留カードに記載された住所と現住所が異なる場合は、在留カードの記載を現実に合わせてから、在留資格変更許可申請を申請します。
実際に住んでいない住居地を申請書に記載して在留資格変更許可申請をすると、虚偽申請という犯罪になりますのでご注意ください。
なお、外国人の住居地を管轄する入国管理局に在留資格変更許可申請をしますので、その意味でも住居地は重要です。
民法上、夫婦には同居義務があり(民法第752条)、配偶者ビザは原則として同居していない夫婦の外国人には交付されないのでご注意ください。
在留期間更新許可申請書の書き方【10】:旅券
旅券とはパスポートのことです。外国人ご自身のパスポートをみながら、パスポート番号と有効期限を記入しましょう。
在留期間更新許可申請書の書き方【11】:現に有する在留資格、在留期間、在留期間の満了日
〇現に有する在留資格
現在お持ちの在留資格の正式名称である「日本人の配偶者等」と記載します。
〇在留期間
在留カードに記載されている、在留期間(1年、3年、5年など)を記載します。
〇在留期間の満了日
在留カードに記載されている、在留期間の満了日を記載します。
在留期間の満了日前のかたは合法的に日本に滞在していますが、在留資格が求める活動をしていない場合(留学ビザの期間が残っているが、すでに退学している、
就労ビザの期間が残っているがすでに退職していて現在は無職など)は資格該当性を失っているので、そこからの配偶者ビザへの変更はハードルが高くなります。
在留期間更新許可申請書の書き方【12】:在留カード番号
在留カードに記載されている、在留カード番号を記載します。
在留期間更新許可申請書の書き方【13】:希望する在留期間
希望する在留期間は「5年」や「3年」としますが、それぞれの在留期間が許可されるためには要件が設定されているので、その要件を満たしていることを立証しないと、いつまでも「1年」のままです。
在留期間更新許可申請書の書き方【14】:更新の理由
ご自身の状況を簡潔に記載しますが、詳しい更新の理由について別途、「申請理由書」を作成します。
お願いベースの「申請理由書」を作っても意味はありませんので、「申請理由書」では要件を列挙(規範定立)したうえで、それぞれについて「あてはめ」をしてください。
多くの方は「今後も日本人の夫と、日本で暮らすことを望むため」等の要領でよいですが、イレギュラーな要素を抱えていらっしゃる場合(例えば、別居している場合や、離婚して別の日本人を再婚したなど)は、ご自身の状況に合わせて説明します。
在留期間更新許可申請書の書き方【15】:犯罪を理由とする処分を受けたことの有無
犯罪歴がなければ「無」にチェックします。「有」の場合でも、前回の許可を得る際に、すでに入管が犯罪歴を把握したうえで許可したのであれば、(永住が許可されるかは別論として、少なくとも配偶者ビザの更新においては)比較的安心です。
逆に今回の更新申請が犯罪を理由とする処分を受けた後、初めての在留資格申請となる場合(例えば、最近、公務執行妨害罪や詐欺罪が確定したなど)は要注意です。みんビザがお勧めしているビザ専門の行政書士に相談・依頼しましょう。
在留期間更新許可申請書の書き方【16】:在日親族(父・母・配偶者・子・兄弟姉妹など)および同居者
お相手の外国人の日本にいる親族と同居者の有無を記載します。
国際結婚ですから、すでに親族である配偶者たる日本人を記載するのは当然として、お相手の親族の有無もきちんと確認して記載します。夫婦が別居している場合は、同居義務を定めた民法に違反しているので(民法第752条)なので審査が厳しくなります。
在留期間更新許可申請書の書き方【17】:身分又は地位
「日本人の配偶者」にチェックします。
在留期間更新許可申請書の書き方【18】:婚姻の届出先および届出年月日
日本の戸籍謄本と、お相手の国の結婚証明書(いずれも配偶者ビザ申請の必要書類)をみながら、結婚の届出先の役所名と、当該役所に対する届出年月日を記載します。
離婚して別の日本人と再婚された方を除き、ほとんどの方は前回の申請と同じ内容になるはずなので、そこは気をつけましょう。
在留期間更新許可申請書の書き方【19】:申請人の勤務先等
就職先の会社を記載します。もちろん、個人事業主・フリーランスでも構いません。その場合は、屋号(やごう)を書きましょう。
年収は、直近の課税証明書に記載された収入の額を記載します。
在留期間更新許可申請書の書き方【20】:滞在費支弁方法
お相手の外国人が、どのようにして滞在費(日本での生活費など)を工面するのかについて記入します。
フルタイムでお仕事中の場合は、「本人負担」にチェックすることが多いでしょう。
在留期間更新許可申請書の書き方【25】:扶養者
就労中で扶養される立場にないときは、扶養者欄は「該当なし」または単に「なし」とします。
在留期間更新許可申請書の書き方【26】:在日身元保証人
日本人の配偶者が身元保証人となります。身元保証の内容として「滞在費」(=生活費)の保証が含まれていますので、日本人の配偶者に経済力がない場合は、別途のフォローが必要です。
在留期間更新許可申請書の書き方【27】:代理人(法定代理人による申請の場合に記入)
「該当なし」とします。
在留期間更新許可申請書の書き方【28】:署名
外国人が自ら署名します。署名ですからお名前を手書きします。
在留期間更新許可申請書の書き方:取次者
申請を代行する行政書士の記載欄です。懸念事項がある場合は、不許可のリスクを低減するために、みんビザがお勧めする行政書士への依頼を検討してみましょう。
在留期間更新許可申請書は、空欄(ブランク)に何かしらの文字が記入されていれば事足りるというものではなく、記入した内容が審査の対象となり、許可・不許可の結果に直結していきますので、ひとつひとつを吟味しながら、しかし偽りなく記入することが大切です。
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。
>> 配偶者ビザ更新の難易度3パターン~新規申請よりも簡単な場合、同じ場合、難しい場合
配偶者ビザの更新は、前回申請よりも簡単な場合、同等の場合、難しい場合があります。この記事では配偶者ビザの更新申請の類型ごとにポイントをくわしく解説しています。
>> 配偶者ビザの更新申請時に発覚する様々な入管法違反の事実
配偶者ビザが許可されるためには「素行の善良性」(日本の法律を守って暮らしていること)が必要ですが、更新申請時にさまざまな入管法違反の事実が発覚することがあります。その類型について徹底解説しています。