更新:2021年2月24日
行政書士 佐久間毅
もくじ
1. カナダと日本、どちらの国で先に結婚しても大変さは同じなの?
2. カナダ人と【日本で先に】結婚をすることのメリット・デメリット
3. カナダ人と【カナダで先に】結婚することのメリット・デメリット
この記事では、カナダ人と日本人との結婚手続きについて、
日本で先に結婚する方法と、カナダで先に結婚手続きを行なう方法にわけて、
東京のアルファサポート行政書士事務所がくわしく解説します!
なおカナダ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、
交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。
問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう。
配偶者ビザの条件の中には、国際結婚の完了後にはどうにもできない問題がいくつかあります(例えば交際期間など。)。
まだご結婚前であれば、交際期間などについて再考できるはずですので、関連記事「配偶者ビザの条件」などをよくご確認ください。
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>> 日本先行でカナダ人と結婚をする場合は、市区町村役場に結婚届を提出します。
>> カナダ先行でカナダ人と結婚する場合は、結婚許可証(marriage licence)を取得します。
>> カナダ先行で先行で結婚をした場合は、最終的に両方の国で結婚を届け出ることができます。
いいえ、同じではありません。したがって、カップルが置かれている様々な状況によって、どちらを選択すべきかが違ってきます。
以下を参考に決定しましょう。
カナダ人と日本で先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・結婚手続きがカナダ先行の場合よりもシンプルで簡単である
<デメリット>
・日本で成立した結婚はカナダ国内でも有効な結婚として認められることの裏返しとして、カナダ政府から結婚証明書を取得できない
【解説】
日本先行でカナダ人と結婚する方法は、カナダで結婚するよりもシンプルなので、多くの方がこの方法で結婚されています。
しかしながら、今後カナダで暮らしていくという場合には、カナダ政府発行の結婚証明書を取得することができるカナダ先行で結婚することにも大きなメリットがあります。
結論としては、今後、日本で結婚生活をおくることを計画し、当面はカナダで生活する予定がない場合は、日本先行でよいでしょう。
カナダ政府発行の結婚証明書を取得することができないと不安に思う方も多いでしょうが、実は、そちらのほうが国際的にはスタンダードと言えます。
アメリカ、中国、ロシアといった大国も、カナダと同じ制度なので、日本の結婚を先行させた場合にお相手の政府から結婚証明書を取得することができないことはそれほど珍しいことではありません。
他方で、日本先行で結婚をしてもお相手の国からきちんと結婚証明書を取得することができる国としては、ヨーロッパの大陸法系の国や、韓国、台湾、フィリピンなどです。
カナダ人とカナダで先に結婚をする場合のメリット・デメリットはつぎのとおりです。
<メリット>
・カナダ政府から「結婚証明書」を取得することができる
<デメリット>
・カナダ先行で結婚手続きを行なうと、日本先行で行なうよりも複雑で時間もかかる
・カナダに結婚当事者2名がそろわないと結婚することができない(例外あり)
【解説】
まず、日本先行で結婚手続きを行なうと、将来、カナダ政府発行の「結婚証明書」を取得することができなくなります。
なぜならカナダという国は、外国で成立した結婚を特別な手続きをすることなくそのまま自国の結婚として認める国なので、日本で成立した結婚をカナダ政府に登録する手段が用意されていないからです。
したがって、今後日本ではなくカナダで結婚生活を送るという場合には、カナダ政府から結婚証明書が発行されるカナダ先行の方がなにかと便利といえます。
いっぽう、カナダ先行の結婚手続きはアメリカの法制度にのっとって行われるため、日本よりも複雑で時間もかかります。
日本は戸籍制度があるため、お相手が結婚できる状態にあるのか瞬時に分かりますが、カナダは戸籍制度が無いため、まず「結婚許可証(マリッジ・ライセンス)」という証明書を発行してもらう手続きが、結婚を成立させる手続きの前段階として存在します。
つまり、結婚手続きが2段構えになっているので、単純な比較はむつかしいものの、日本先行よりも2倍の手間がかかります。
また、結婚手続きそのものも、「婚姻届」という書類を市区町村役場に提出すれば成立する日本の結婚手続きに比較して、カナダの場合は結婚当事者が教会(宗教婚)や役所(民事婚)で挙式を挙げないと結婚が成立しません。
結論としては、今後、カナダでながく結婚生活を送る予定のあるかたは、カナダ先行で結婚されると良いでしょう。
日本人とアメリカ人が日本先行で結婚をする場合の手続きは、わずか2ステップで完了します。
日本で結婚生活を送る場合はStep3に進みましょう。
Step1:カナダ人が、在日カナダ大使館で大使館で結婚宣誓書(Marriage Affidavit)を取得
あらかじめ予約を取った上で、在日カナダ大使館で「結婚宣誓書」を取得します。
これは、カナダ人がカナダの法に則って結婚できる状況にあることを証明する書類です(といっても、ご本人が宣誓するだけですが)。
・事前に予約をとる必要があります。
・当日は、パスポートを持参します。
・結婚宣誓書はあらかじめ記入できますが、署名は大使館職員の面前で行ないますので、事前にしないでください。
Step2:日本の市区町村役場へ婚姻届を提出
日本の市区町村役場へ結婚届を提出し、結婚を成立させます。
カナダの結婚宣誓書には、アメリカの結婚宣誓書と異なり、カナダ人の父親と母親の名前の記載がありませんので、これを確認するために、「出生証明書」を要求されることが多いです。詳しくは、市区町村役場の指示に従ってください。
<必要書類>
・婚姻届
・結婚宣誓書と日本語訳 ※結婚宣誓書の日本語訳は、カナダ大使館でフォーマットを入手できます。
・カナダ人のパスポート
・カナダ人の出生証明書
・日本人の本人確認書類
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚をする場合
・その他指示されたもの
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国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step3:日本の配偶者ビザを申請する
日本での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
カナダ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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カナダは日本と異なり、州ごとに結婚手続きや結婚の要件が異なります。以下では、カナダで最も人口が多いオンタリオ州を例にご説明しますが、必ずあなたがご結婚される州政府のホームページで、最新の情報を収集しましょう。
Step1:日本人がカナダへ渡航する
カナダは、 訪問ビザ(visitor visa )や一時滞在ビザ(temporary resident's visa)でカナダへ渡航しても、カナダ国内で結婚をすることができます。アメリカはこれを認めないので、カナダは便利といえます。
Step2:結婚許可証を取得する
カナダは戸籍制度が無いので、何かの書面をみれば、結婚当事者が結婚することができる状況にあるのかどうか立ちどころにわかるという制度になっていません。そのため、結婚式の前段階として、まず「結婚許可証(Marriage Licence)」を取得する必要があります。
結婚許可証の有効期限は90日なので、挙式の予定日の90日以内に取得をしないと無効になります。
結婚許可証は、通常は申請したその日のうちに発行されます。
【必要書類】
・結婚許可申請書に記入し署名する。※PDFはオンタリオ州のものなのでご注意ください。
・身分証明書 ※パスポートなど
・その他指示されたもの
Step3:結婚式をあげ、結婚を成立させる
結婚式は、民事婚と宗教婚のいずれかを選択することができます。
宗教が関係しない民事婚で結婚する場合は、市役所に連絡し、判事によって挙式が執り行われます。
宗教婚の場合は、結婚法に基づいて登録された宗教関係者(例えば、教会の牧師など)によって結婚式が執り行われます。
民事婚の挙式については、各市のホームページに詳細があります。
以下では、カナダ・オンタリオ州の某市についてみてみます。
民事婚は多くの市で、市役所(city hall)で行なわれます。民事婚の結婚式は、宗教色はありません。
結婚式はシンプルな儀式なので、15分程度で終わります。
結婚式の予約は、市役所に結婚当事者両名が出向いて、行います。
民事婚の費用は、$250で、現金又はクレジットカードで支払うことができます。
【必要条件】
・カナダ・オンタリオ州発行の結婚許可証 ※事前に入手しないと結婚式を挙げられません。
・2名の証人。証人は、結婚当事者それぞれに1名が必要です。市によっては、料金を支払うと証人を市側で提供してくれます。
・誓いを述べたりするので、英語が通じない日本人の場合には、通訳を結婚当事者自らが手配する必要があります。
Step4:結婚証明書を取得する
結婚式が終了すると、「結婚許可証(Marriage Licence)」が結婚登録するために当局に送付されますが、結婚登録が完了するまでに最長で10週間かかります。
結婚登録が完了すると、「結婚証明書(Marriage Certificate)」を取得することができます。結婚許可証と結婚証明書は別物ですのでご注意ください。
結婚証明書は、役所で直接申し込むこともできますし、オンライン、郵便、FAXで申し込むことができます。
Step5:日本に結婚を報告する
今後、日本で生活をする場合には、日本に帰国してから、カナダで結婚が成立したことを報告するために市区町村役場に結婚届を提出します。
<必要書類>
・婚姻届
・結婚証明書とその日本語訳
・日本人の戸籍謄本 ※本籍地以外で結婚する場合
・日本人の本人確認書類
・カナダ人の出生証明書
・カナダ人のパスポート
・その他指示されたもの
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国際結婚の場合の婚姻届の書き方はこちらで解説しています。
Step6:日本の配偶者ビザを申請する
両国での結婚手続きが完了したら、日本の配偶者ビザ申請手続きに移行します。
カナダ人とご結婚された日本人のかたが自分でお相手の配偶者ビザを申請され、不許可になってみんビザ™にもちこまれることが多いケースが、年齢差が大きい、交際期間が短い、収入面(継続性・安定性・額)に問題があるケースです。問題となりそうな人はご結婚前にきちんと解決しましょう(まだご結婚前であれば、交際期間などが調整できるはずです。)。
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行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。