更新日時:2020年10月16日
行政書士 佐久間毅
>> 相手国での結婚が完了していないと、お相手はまだ母国では独身であり「他人同士」なので、配偶者ビザは通常許可されない
>> 跛行婚では配偶者ビザが通常許可されないのは、その状況にしていることの理由に疑義が生じるため
跛行婚(はこうこん)とは、国際結婚において、いずれか一方の当事者の国籍国では結婚が成立したが、他方の当事者の母国ではまだ結婚が成立していない状態のことをいいます。
例えばアメリカや中国のように、日本で結婚を成立させると、その結婚を自国の結婚としても認める取扱いにしている国の場合は、それ以上特段の結婚手続きをしなくても跛行婚にはなりません。若干語弊があるかもしれませんが、お相手の国でも「自動的に」結婚が成立しているからです。
一方で、台湾、韓国、フィリピン、タイ、ベトナム、イタリア、スペインなど多くの国においては、日本で結婚を成立させても、自国政府にその旨を報告して「登録」しなければ、お相手の国ではお相手は独身のままです。この場合は、日本では夫婦かもしれませんがお相手の母国では「法律上も」他人同士なので、日本の配偶者ビザが簡単に許可されないことは想像にかたくないでしょう。
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弊社のお客様のなかには、どうしてもお相手の母国側の結婚手続きを遂行することができない「合理的な理由」をお持ちのかたがいらっしゃいます。そのような場合では、専門家の力を借りることによって、まだお相手の国では「他人同士」であっても、日本の配偶者ビザを取得できる可能性はあります。
過去にお手伝いしたケースでは、大病をされた方で飛行機の搭乗が難しいケースやお相手の母国でイスラム過激派によるテロが横行している地域などで、日本外務省のホームページでも渡航について注意喚起がなされており、文字どおり結婚手続きの完遂が「命がけ」になる場合があります。これなどは、相手国での結婚手続きが完了していないことについて「合理的な理由」がある典型例といえますから、みんビザ™がお勧めする専門家に相談しましょう。>>こちら
日本の入管も、「命がけで行ってこい!」とは言わないでしょうし、現にお客様のケースでは適切なフォローをすることにより許可されました。
単に面倒とか、仕事が忙しく時間が取れないといった理由だと一般論としては弱いです。なぜなら、その面倒なことを、ほかのカップルはきちんと時間を工面してやり遂げているからです。
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跛行婚だと配偶者ビザが許可されづらいもうひとつの理由は、その状態にしていることの意図が見えづらいからです。
偽装婚の場合、できれば自分の母国の戸籍を汚したくないと考えるのは当然のことです。
また、婚姻法にカソリックなどの宗教観が入り込んでいる国の場合は、一度結婚すると、二度と法律上の「離婚」をすることができない国もあります。このような国の出身者が偽装婚をする場合、できれば母国では独身のままにしておきたいと考えるのは自然なことです。
跛行婚のまま配偶者ビザを申請すると、なぜ母国では「他人同士」のままにしているのか、その意図に疑義が生じるので、通常は配偶者ビザが不許可になるのです。
跛行婚のまま配偶者ビザを申請することは通常考えられませんが、なにか理由がある場合は、必ずプロに相談しましょう。>>こちら
跛行婚でないこと(両国で結婚が成立していること)や収入の「額」、収入の「継続性と安定性」など配偶者ビザの要件は、要件を満たしていることについて証明する責任(立証責任)が申請人側にあることに注意しましょう。
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行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。
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