配偶者ビザ申請は難しそう、不許可になりそうで怖い、なかなか準備を始められない方へ。ここでは配偶者ビザ申請のリスクの説明や申請をする準備、書類の集め方や許可をもらうにはどうしたらよいのか等、ビザ初心者向けにやさしく説明します。
監修:アルファサポート行政書士事務所(東京・六本木)
配偶者ビザとは、日本人と結婚した外国人が、日本で結婚生活を送るために必要となる法的な資格(在留資格)のことです。結婚ビザと呼ばれることもありますが、正式名称を在留資格「日本人の配偶者等」といいます。
ビザ申請というと、難しい・不許可が怖いとのイメージをもたれがちです。たしかにビザ申請をしたことのない初心者にとって、日本で生活するための資格をとることは容易ではありません。失敗すれば日本で生活をすることができず、取り返しのつかないことにもなりかねません。しかし、正しい知識を身につけ、きちんと情報収集を行うことで初心者でもしっかり取得することができます。
たとえばあなたがアメリカ人とご結婚されて米国ビザを取得しようとしているとします。ご自身がビザの要件に合致していることをあの手この手で説明しますよね? けっしてテキトウな準備をする人はいないはずです。それと同じことが、今回はあなたの配偶者について求められています。
11.資格外活動(アルバイト時間超過など)をしているときの注意点
12.技能実習生との結婚であるときの注意点
13. 難民申請中であるときの注意点
14. 夫婦が海外在住であるときの注意点
・退去強制歴があるときの注意点
・紹介者がいるときの注意点
・互いに相手の母国語を理解できないときの注意点
・両親への挨拶を電話で済ませているときの注意点
・結婚紹介所で紹介された
・日本で難民申請中の外国人と出会った
・日本を旅行中の外国人と出会った
・海外留学先の外国で出会った
・外国を旅行中に外国人と出会った
・在留資格とは?
・ビザと在留資格の違いはなに?
・入国と上陸って違うの?
・配偶者を呼び寄せる方法
・配偶者ビザと就労
・配偶者ビザと永住権
・ビザ更新・在留期間更新
・東京入国管理局
・就労に制限のない4つの在留資格
配偶者ビザを取得した外国人は、あらゆる職業につくことができます。就労ビザは職種を選びますが、配偶者ビザをもっていると、単純労働から高度な知識労働まで制限がありません。
>>関連記事「就労に制限のない4つの在留資格」
配偶者ビザを取得すると、就労ビザをもっている一般的な外国人よりも、圧倒的に早く永住権にたどり着けます。他の外国人が10年かかるところを、配偶者ビザだと3年でたどり着けるのです。
>>関連記事「10年未満での永住権申請」
留学経験のあるかたや海外駐在経験者など、国際経験豊かなかたほど、ビザの怖さを知っているので、きちんとビザの専門家にアドバイスを求め、代行を利用する傾向にありますが、国際経験の乏しい人ほど、わずかなお金を惜しんで自力で申請をして不許可になりがちな傾向があります。しかしビザ初心者にとって、大切な配偶者ビザ申請を誰に頼んでよいのか選ぶだけで一苦労です。みんビザの調査では、人気の行政書士事務所はアルファサポート行政書士事務所となりました。
出入国在留管理局は、在留資格「日本人の配偶者等」の審査期間を1か月から3か月と公表しています。これを標準処理期間といいます。在留資格の変更をされるかたはこの期間をみていただくこととなり、海外から呼び寄せをされる場合には、この後に続く査証申請の期間もあわせて考慮していただく必要があります。アルファサポート行政書士事務所では、スケジューリングについても有料でご相談をお受けしています。
【追記】
現在は新型コロナウイルス感染拡大防止策として上陸拒否対象国が指定されており、海外から日本への入国が困難なことから、該当国の国籍の方への在留資格認定証明書の交付は見合わせられていました。2020年7月から審査待ちの期間が長期化されている方々については、人道的な配慮から、徐々に交付が再開され、現在は通常にもどりつつあります。しかしながら、入国には一定の制限が残っています。
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日本での結婚を成立させた場合、必ずお相手の国でも結婚を成立させる必要があります。日本でだけ結婚が成立している状況を「跛行婚」(はこうこん)といい、お相手の国ではまだお相手は独身であり、他人同士なので、様々な問題につながります。
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・跛行婚
配偶者ビザの必要書類を作成し収集していきます。配偶者ビザは書面審査ですので、ご自身の申請に弱点がある場合には、きちんとした準備・フォローをしないと不許可になる可能性が高いです。
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日本人の住所を管轄する出入国在留管理局へ申請します。審査期間は1カ月から3カ月とされています。
配偶者ビザの条件の立証に成功すると、在留資格認定証明書が出入国在留管理局より交付されます。交付されたら、海外で待つお相手に郵送します。
在留資格認定証明書の有効期間は通常3カ月ですが、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として上陸拒否対象国が指定されることがあるため、特例(3カ月よりも長い有効期間)が設けられることがあります。
残念ながら不許可の場合は、不許可通知書が交付されます。
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在留資格認定証明書を受け取ったお相手は、在外公館(日本大使館や領事館)で日本のビザ(査証)の申請をします。許可する場合は、在外公館は、パスポートに査証(ビザ)を貼付します。
不許可の場合は、同一理由での申請は6か月することができません。
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最終的に日本に入国できるかどうかは、空港や海港における入国審査で決まります。
在留資格認定証明書と有効な旅券、有効な査証をもっていても、入国できないこともあります。たとえば、在留資格認定証明書が発行された後に、離婚した事実を入管が感知したケースなどをお考えいただければよいでしょう。
成田空港や羽田空港などの主要な空港では、入国時に空港で在留カードが発行されます。在留カードは、日本において、外国人のかたの滞在資格を証明する身分証の役割を果たします。
空港で取得した在留カードの住所欄は「未定」とされていますので、入国後にお住いの市区町村役場へ住所を届出しにいきます。
住所の登録は入管法上の義務ですので放置すると退去強制事由にまで発展するおそれがあるだけでなく、来年の更新や、将来の永住申請時に日本の法律を犯している在留不良の人物としてマイナス評価となりますので、甘くみずに、すみやかに行いましょう。
配偶者ビザが許可されるためには、婚姻の真実性が立証されなければなりません。偽装婚とは、法律上の結婚は成立したがその結婚に実体がないことをいいますので、逆に婚姻の真実性つまり結婚に実体があることを証明していくこととなります。
入管は様々な観点から婚姻の真実性を見抜こうとしており、例えば、同居のための住居がきちんと用意されているのか、何回目の結婚なのか、対面での交際期間がどれくらいあるのか、年齢差はどのくらいなのかなどが大きなポイントとなってきます。
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収入に関しては、①継続性、②安定性、③給与の額の3つが審査されます。
①収入の継続性について
収入の継続性とは、入管に証明した給与の額や年収が、これまで何年続いてきたもので、今後も続く見通しがあるのかということです。
例えば、海外において現地採用で働かれていらっしゃった方は、もちろんこれまでは生活を支える収入があり問題はなかったはずですが、日本に帰国されて別の会社に転職された場合は、過去の勤務実績に対する評価はほぼゼロになります。転職「後」の会社で今後どれだけ勤務を続けていくことができるのかは未知数だからです。
したがってこの場合は、キャリアの連続性(転職前と転職後の職種が同じエンジニアなので継続の見込みがあるなど)など、
他の人とは疎明のポイントが異なってきます。転職していない人は課税証明書で少なくとも過去1年間の実績をしめすことができますが、転職してしまうとそうはいかなくなります。
②収入の安定性について
収入の安定性とは、月ごとの給与の上下変動のことをいいますので、固定給であるかたはご心配はいりません。
お仕事柄、給与の額の月ごとの変動が大きなかたは、下振れしても生活に支障がないことが疎明ポイントとなります。
③給与の額について
必要な給与の額は、世帯の扶養人数に応じて異なります。お子様が数名いたり、お子様以外の誰かを扶養に入れている場合など(課税証明書に記載されます)は、求められる収入の額が大きくなるのは当然です。
インターネット上に明確な必要収入の額が存在しないのはそのためで、質問書に記載する家賃の額とのバランスに注意しましょう。
収入が多くても家賃が過大であれば生活は成り立たず、過小でも問題があります。給与を大きく超える負債を抱えていらっしゃるかたも存在するためです。
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出入国在留管理局に指定された住民票や戸籍謄本などの書類だけを役所に行って取得するだけであれば子供にでもできるでしょう。
しかしながら、配偶者ビザの申請で提出する書面は、「立証の証拠」として提出するものなので、入管から指定された書面だけをポンと何も考えずに提出すればまず不許可になります。
そして、ご自身の配偶者ビザ申請に弱点がある場合には、入管に指示された最低限の書面のほかに様々な書面を順位して積極的にフォローしていきませんと、立証不十分として不許可になります。
配偶者ビザの申請において、条件を満たしていることの「立証責任」が申請人側にあることに注意しましょう。
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海外在住者のなかで、日本企業から派遣される形で「赴任」をされていたかたについては、収入の安定性と継続性の証明に困難が生じないことが多いですが、現地企業に就職されていた方はご注意ください。
配偶者ビザが許可されるためには、日本での収入の安定性と継続性の立証が必要なため、①日本人のみ先に日本に帰国され後から外国人配偶者を呼び寄せるか、②外国人配偶者は日本人と同時に短期ビザで来日後、日本で配偶者ビザに変更するかたもいらっしゃいます。
しかし後者の方法は、国が原則として禁止している方法なのでハードルが高くなりますので、行政書士のサポートが不可欠となります。
【追記】
現在は新型コロナウイルス感染拡大防止策として上陸拒否対象国が指定されており、対象国の国籍のかたへの在留資格認定証明書の交付が長期化しています。また在留資格変更の審査も長期化気味ですので、②の方法をとる場合にはそのリスクについて、みんビザがお勧めする行政書士にご相談の上よく把握をしてください。
配偶者ビザを自分で申請し、申請後に出入国在留管理局から「追加書類提出通知書」が来てしまったら、首の皮一枚でつながっている状態だと理解してください。
もちろん、いきなり不許可にならなかっただけ御の字といえないこともありませんが、この書類が来るということは要するに、あなたの申請は、配偶者ビザの条件を満たしていることについての立証が不十分であったということです。立証がなされなければ不許可なので、崖っぷちに立たされていることになります。
ただ逆に言うと、不許可が十分に予想された困難な案件でこの通知書が来た場合は、許可される可能性がまだ依然して残されているという意味ことを意味します。
したがって、追加書類が要求されている背景を察知して、的確な書類を準備しましょう。
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配偶者ビザの取得は、海外から呼び寄せるときよりも、現在の在留資格を日本にいながらにして変更して取得するときの方が、審査項目が多くなるぶんハードルがあがります。
つまりすでに日本にいらっしゃる外国人の方は、これまでの在留が日本の法律を守ったものであったかどうか(素行の善良性)が審査されるのです。
たとえば、留学生が週28時間を超過してアルバイトをしていることが課税証明書や職場への実態調査で判明した場合、資格外活動罪という犯罪であるため、配偶者ビザの取得が難しくなります。留学ビザの更新申請が認められない事情があれば、原則として配偶者ビザへの変更も認められません。なぜなら変更申請も更新申請もいずれも許可されるためには「素行の善良性」という要件を満たす必要があるからです。
また、難民申請中で特定活動ビザをお持ちの外国人が他の在留資格へ変更することは丁寧に作りこんだ申請でなければまず不許可となりますし、技能実習生の方の配偶者ビザへの変更は制度上基本的に困難です。さらには、ワーキングホリデーで特定活動ビザをお持ちの方も、国籍によってはそのままの変更申請が制度上困難な場合もあります。
さらに、在留資格「短期滞在」から配偶者ビザへの変更は、入管という法律で、やむを得ない特別の事情がない限り許可しないものとされており、原則として禁止されていますので、この方法をとる場合にはみんビザがお勧めする行政書士のサポートが不可欠となります。
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・ビザ変更
配偶者ビザの期限は在留カードに記載されていますので、きちんと管理して、期限前に必ず更新許可を申請しましょう。この期限を1日でも超過すれば不法残留罪(オーバーステイ)です。
現在の在留期間が1年の方は、出入国在留管理局からまだ1年分の信用しか与えられておらす、1年ごとに状況をチェックされることを意味します。
配偶者ビザの条件を今後3年間はチェックしないでも満たしそうだと入管が判断すると、晴れて3年の在留期限が許可されます。
更新申請時は、みなさん1年をなんとか3年にすることにばかり目が行きがちですが、実際にはビザ更新が不許可となって母国へ帰国する人もいますし、1年が6か月に減らされてしまう人もいます。その意味で、攻撃だけでなく防御にも目配りしましょう。
在留期間更新においては、「素行の善良性」が審査項目に加わりますので、収入面や婚姻の真実性に問題がない方でも、日本の法律を守らない在留不良者であれば不許可になる可能性が高くなります。
晴れて在留期限が3年になれば、その次のチャレンジすることとなる「永住権」が視界に入ってきますよ!
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配偶者ビザを自分で申請して不許可となってしまった場合、その不許可の結論は法務大臣の名で決定されますので、それを後にひっくりかえすことは容易でないことをまずご認識いただいた上で、下記の点に気をつけましょう。
①不許可理由の的確な把握
不許可となった理由を正確につかまなければ、次回申請の戦略の練りようがありません。まずは不許可となった理由を把握しましょう。
②不許可理由の解消
例えば収入が足りないと指摘されたのであれば副業をするなりして収入アップを図り、例えば婚姻の真実性に疑義があると指摘された場合はもう少し慎重に交際を積み重ねる必要があります。指摘された理由を、次の申請では解消しておかなければ、また同じ結果を得ることとなります。
③不許可理由が解消されたことについての立証
不許可理由が解消されたことは「立証」されなければ意味がありません(例えば収入が少ないと指摘された場合、新たに開始した副業でこれだけの収入があるということについての証明。)ので、証拠となる書面を整えていきます。
④前回の申請との整合性
当然のことですが、前回の申請と今次申請とで、言っていることが食い違っているともう不許可へまっしぐらです。前回の申請内容は保管されていますので、今次申請の時に前回と矛盾のないことを言っているかどうかチェックされます。
たとえば、不許可理由として指摘されたのが収入がらみの問題(継続性、安定性、額)であったとしても、再申請における交際をはじめた時期の主張が前回と異なっていたりすれば、入管は今度は「婚姻の真実性」について何を信じてよいのか分からなくなりますので、収入面に改善がみられたとしても、再度の不許可が目の前にやってきます。
配偶者ビザの申請が残念ながら不許可になるケースというのは、配偶者ビザの条件についての理解と、その条件を立証していくための書類についての理解が不足し、さらには条件を満たしていることを文章で表現する力に起因していることが多いです。
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配偶者ビザの準備をはじめる前にまず知っておいてほしいことをコラムにまとめました。
「そもそもビザとは?」「配偶者ビザ申請にはどんな申請ルートがあるの?」等、ビザ初心者の知りたい話題を集めました。配偶者ビザについてイチから学ぶ方は、まずはこちらをお読みください。
【7】ビザ変更・在留資格変更
【8】ビザ更新・在留期間更新
ここでは、すべての国際カップルに共通のリスク・注意点について解説します。
【8】収入が少ない
【9】就職したばかりである
【10】納税していない
【11】両親への挨拶を電話で済ませている
【12】資格外活動(アルバイト時間超過など)をしている
【13】退去強制歴がある
【14】紹介者がいる
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。